LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が、エンターテインメント事業に進出する。ここ数年、ファッションはカルチャーやアート領域との結び付きを強めているが、2023年6月に開催されたファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)新メンズ・クリエイティブ・ディレクターによる「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のデビューショーは、アフターパーティーで披露したジェイ・Z(Jay-Z)のパフォーマンスも含め、こうした潮流を象徴するようなイベントだった。また、LVMHのライバルであるケリング(KERING)は、23年9月に米国のタレントエージェンシーの過半数株式を取得している。ここでは、LVMHがエンタメ事業に参入する狙いや他社の動きをまとめた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年3月4日号からの抜粋です)
LVMHは、米国のタレントコンサルティングおよびマーケティング会社スーパーコネクター・スタジオ(SUPERCONNECTOR STUIDIOS)とのジョイントベンチャー、22モンテーニュ・エンターテインメント(22 MONTAIGNE ENTERTAINMENT)を立ち上げた。LVMHのパリ本社がある通りの名前を冠した同社は、“ラグジュアリー帝国”LVMHが擁する70以上のブランドとエンターテインメント分野のコラボレーションを促進することが狙いで、映画、テレビ番組、オーディオに関するさまざまな企画を共同で開発、制作、プロデュースするほか、資金提供も行う。
スーパーコネクター・スタジオは、ジェイ・グッドマン(Jae Goodman)とジョン・カプラン(John Kaplan)が共同で23年6月に設立。2人はマーケティング畑の出身で、以前は米タレントエージェンシーのクリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー(CREATIVE ARTISTS AGENCY以下、CAA)の同僚だったが、現在LVMHが擁するティファニー(TIFFANY & CO.)のチーフ・ブランド・オフィサー(CBO)を務めているヘクター・ミューラス(Hector Muelas)も当時CAAで働いていた。カプラン共同創業者によれば、「ティファニー」のアーカイブを掘り起こしたミューラスCBOから、著名人による恋文やそれと共に贈られたジュエリーの記録、平和宣言など歴史的な文書への署名に使われたペンの話といった「ブランドにまつわる素晴らしいストーリーが山ほどあるのに、手つかずのまま眠っている。これをどうにかできないか」と相談され、LVMHの経営幹部とミーティングを重ねたことが、今回のジョイントベンチャー設立につながったという。
同事業は、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)の長男であるアントワン・アルノー(Antoine Arnault)LVMHイメージ&環境部門プレジデントと、アニッシュ・メルワニ(Anish Melwani)北米LVMH会長兼CEOが率いるコミッティーが統括する。メルワニ北米LVMH会長兼CEOは、「当社は各メゾンを“物語の家”、文化の創造者とみなしている。22モンターニュ・エンターテインメントの設立を機に、エンターテインメントを通じたブランドプロモーションに本腰を入れていきたい」と意気込みを語った。
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