ファッション
連載 エディターズレター:VIEWS ON WWD U.S. 第26回

脱・広告! LVMH的富裕層への新アプローチ

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ケリングの創業家の投資会社が米タレントエージェンシーを買収したニュースが気にはなっていました。

しかし、LVMHも似たような動きを始めたということで、いよいよ本格的にラグジュアリー企業がタレントマネジメントを手掛けたり、映画制作に直接関わったりする時代の到来です。

この記事でまず「なるほど!」と思ったのは、人気のプラットフォームに広告を出していればよかった時代は、ラグジュアリーブランドにとっては、もう終わっているということ。「広告」はどれだけ素敵なコンテンツでも「広告」扱いで、「広告を見ないために課金する富裕層」には届きません。

では、「広告を見ないために課金する富裕層」に対して、どうブランドプロモーションを行なっていくのか。その一手として、映画やドラマ、番組の制作の段階から関わっていくという……。大胆ですが、合理的。

年商13兆円企業の新しいアプローチ

「広告よりもカルチャーやエンターテインメントの方が人の心を動かす力が強い」というのはごもっともです。しかし、見せたいシーンや届けたいメッセージのために、“ガワ”から作ってしまえという発想は、さすが年商13兆円企業……。そしてLVMHの抱えるブランド群はたくさんの逸話を持っています。

確かに「ティファニー(TIFFANY & CO.)」なら、アイテムをキーにしたドラマを100話分くらい作れそうですし、現代の富裕層を題材にしたエンタメドラマで、出演者が身につけていたのは実は全てLVMH傘下のブランドなんていうことも可能でしょう。なんなら“レディ ディオール”(バッグ)の魅力を最大限に引き出すためにダイアナ妃を題材にしたドラマを制作するなんてことも十分考えられます。妄想が広がりますね。

でも、まだ新進企業とジョイントベンチャーを立ち上げたという段階です。「お気に入りのドラマを見ていたら、『ディオール(DIOR)』のバッグがめちゃくちゃ欲しくなった。うわー、制作が22モンテーニュだー」という日が、いつか来るかもしれません。

VIEWS ON WWD US:「WWDJAPAN」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙です。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。そんな米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説します。

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