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連載 齊藤孝浩の業界のミカタ 第59回

H&Mの財務諸表から前CEO任期中の改革について振り返る

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企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はCEOが突然辞任したH&Mの決算を読み解く。(この記事は「WWDJAPAN」2024年3月11日号からの抜粋です)

H&MのCEOだったヘレナ・ヘルマーソン(Helena Helmersson)氏が1月末に突然辞任して話題になりました。「(比較的ボリュームが大きい)冬の売り上げの落ち込みや競争が激化する中、続けるエネルギーを失った」といった退任コメントでしたが、そもそも私は、この経営者が、どういう人で、何を考えて経営していたかというのに興味を持ちました。今回は財務諸表から、同前CEOが率いたH&Mの4年間を振り返ってみたいと思います。

H&Mは上場していますが、パーション一家が大株主です。ヘルマーソン前CEOは創業家3代目でもあるカール・ヨハン・パーション現会長の後任として2020年1月に着任しました。H&M歴が26年と長く、アジアのバイイングオフィスなど、商品調達の方のキャリアの持ち主でサステナビリティ・マネジャーも務めていました。これは私の臆測ですが、13年のラナプラザ事件の前にバングラデシュに駐在していたこともあり、彼女は調達側のサステナビリティにかなり力を入れたのだろうと考えました。

23年11月期は、売上高が3兆30億円で前期比15.6%増です。10年前と比べると83%増。営業利益額ピーク時の15年と比べても30%増。コロナ前の19年比でも上回っています。一方、営業利益に関しては、前年の2倍にはなりましたが、10年前比で35%減。15年比で46%減、コロナ前と比べても16.2%減というのが実態です。

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