都心では外国人観光客の賑わいが戻り、さまざまな国籍や人種、文化や背景を持つ人々の“たまり場”が生まれ始めた。このほど東京・麻布十番にオープンした「Tokyo Confidential」も、空間設計から接客、ドリンクまで“オールインクルーシブ”をうたうユニークなコンセプトのバーだ。
Tokyo Confidentialは、麻布十番駅からほど近いビルの最上階にある。店内に足を踏み入れるとまず、壁に描かれたダイナミックなウォールアートに目を奪われる。ジャパニーズモダンを意識した内装の中で、樹齢300年の松材を使ったバーカウンターがひときわ存在感を放つ。
バーのファウンダーであるホリー・グラハム(Holly Graham)はバー業界における“世界で最も影響力のある人物100名”を選出する「Bar World 100」のトップ10に毎年ランクインする実力者。さまざまな国を旅し、現地のバー文化を体験する中で、日本の繊細な感性ともてなしに大きな感銘を受けた。同時に、日本では他の国に比べ、「人々にとってバーの敷居が特に高いイメージがある」とも感じたという。日本のバーテンダーについては、「みんなお客さまの邪魔をしないよう奥ゆかしく、まるで『ニンジャ』のように振る舞っているわね」と笑う。
日本の美意識を取り入れながらも、「外国人の自分だからこそ作れる、日本のバーの既成概念を壊すような店を作りたい」。そのような考えの下、Tokyo Confidentialではバーテンダーとゲストのフラットな関係を何より大切にする。松材のバーカウンターの設えは、バーテンダーとゲストの境界を緩やかに取り持つ。「常連さまはもちろん、初めてのお客さまも盛り上がると、バーカウンターの中に入ってきて私たちとお話していただくことも多いわ」とホリー。「ここではドレスアップしなくても、髪を下ろしていてもいい。普段は肩肘を張って生きているような東京の人たちも、ここだけで話せるような“Confidential(秘密)”があってもいいと思っているの」。
ドリンクメニューにも、彼女の“オールインクルーシブ(全てのものを包み込む)”の思想が色濃く表われる。フルストレングスのシグネチャーカクテルから低アルコール、ノンアルコールのものまで、お酒を飲む人も飲まない人も楽しめるメニューをそろえる。カクテルは、日本の伝統的素材を使用した独創的な味わいが面白い。マティーニスタイルの“デストロイ・ オール・モンスターズ”は、味噌ブラウンバタージンに、シェリー、ベルモット、ポン酢を使った深みのある味わい。“ゴー・ライトリー”はどぶろく、泡盛、エルダーフラワーにトマト、スパークリングワインを合わせ、口に含むと爽やかな余韻が後を引く。各1杯2000円。
◾️Tokyo Confidential
場所:東京都港区麻布十番1-6-1 THE V-CITY AZABUJUBAN PLACE 9階
営業時間:18:00〜26:00(月曜定休)