ファッション
特集 パリ・コレクション2024-25年秋冬

「サカイ」はこんな時代だからこそドレスアップ、「ステラ」が放つ“そろそろ潮時よ”の意味 2024-25年秋冬パリコレ取材24時Vol.10

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2024-25年秋冬パリ・ファッション・ウイークの現地リポートを担当するのは、コレクション取材20年超のベテラン向千鶴・編集統括兼サステナビリティ・ディレクターと、ドイツ在住でヨーロッパのファッション事情にも詳しい藪野淳・欧州通信員。朝から晩までパリの街を駆け巡り、新作解説からユニークな演出、セレブに沸く現場の臨場感までを総力でリポートします。今回は、「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」や「サカイ(SACAI)」「マリーン セル(MARINE SERRE)」「ルッツ ヒュエル(LUTZ HUELLE)」「ロク(ROKH)」「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」のショーから、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」や今春日本に本格上陸するバッグブランド「RSVP」の展示会までをお届け!

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3月4日
10:00 「ステラ マッカートニー」

サステナビリティのリーダーである「ステラ マッカートニー」。前シーズンは、ショー会場に21の“マルシェ”風屋台を設け、その中で素材や技術の現物を展示し、パートナー企業の担当者が説明をするという、具体的な方法でそのスタンスを伝えました。今季はビデオメッセージを通じて、より感情に訴える手法を選択。ショーの前にはオスカー女優のオリヴィア・コールマン(Olivia Colman)とヘレン・ミレン(Helen Mirren)がマニフェスト「母なる地球からのメッセージ」を読み上げる映像を流しました。下記はそのメッセージの一部。「私」は地球を意味します。

「みんな私から生まれた、調和している、それなのになぜ私を傷つけるの?私はまだあなたを愛しています、あなたはまだ私を愛していますか?愛していることを見せてちょうだい、そろそろ潮時よ」。赤い唇から繰り返し流れ、Tシャツロゴにも採用された「It’s about fucking time(そろそろ潮時よ)」の言葉がセクシーで強烈。何が潮時かは、もちろん気候変動や生物多様性の損失です。

母、リンダ・マッカートニー(Linda McCartney)のワードローブをはじめ、ステラのパーソナルを起点とした今季のコレクションは誇張されたプロポーションが特徴的。幼いステラには、母のクローゼットのコートやドレスはきっと大きく、力強く見えたのでしょう。

コレクション全体の90%以上が「責任ある素材」から作られており、サステナビリティをまた前進。ベースとなる素材、カシミアやウールはリサイクルで、コットンはリサイクルもしくは環境再生型農業由来。リアルレザーは従来通りゼロ。トレンチコートのクロコ柄は型押しで、リンゴ由来かつなめしの過程で有害物質や発がん性化学物質を一切使用していないレザー代替素材を使用しています。装飾もぬかりはなく、円形リベットは鉛不使用です。

11:00 「ルッツ ヒュエル」

次のショー会場は神秘的なアメリカ大聖堂。「ルッツ ヒュエル」が4年ぶりにランウエイに戻ってきました。協業をしてきた「AZファクトリー(AZ FACTORY)」が公式スケジュールの時間をヒュエルに譲ったことで実現をしたそう。「ショーをやるのはいつもストレスが溜まる。しばらくショーをやっていなかったけれど、これから何度もあるうちの最初のショーになるような気がする」とヒュエル。手ごたえを得たようです。

身頃がシャツ地で襟と肩と袖口がデニム、のように異素材のドッキングが彼の得意技。中綿とデニムのように縫い合わせが難しい生地の組み合わせが多数です。アイテムは小さい襟の白シャツ、適度なゆるみのあるデニムやスラックスといったデイウエアから後半はドレープを生かしたスリット入りのブラックドレスといった夜のシーンまでカバー。ショーよりも展示会でその技をじっくり見せて、試着でフィットを体感してもらった方が良さそうなブランドです。

13:00 「マリーン セル」

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