田中大資デザイナーによるウィメンズブランド「タナカダイスケ(TANAKADAISUKE)」は13日、「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」で2024-25年秋冬コレクションを発表した。今回のショーは、東京都と日本ファッションウィーク・推進機構(JFWO)が共催する「東京ファッションアワード2024(TOKYO FASHION AWARD 2024)」受賞による渋谷ヒカリエ使用料などのサポートと、母校である大阪文化服装学院からの支援を受けて開催した。
田中デザイナーは大阪文化服装学院を卒業後、衣装作家や刺しゅうアーティストとして活動しながら、21年に「タナカダイスケ」をスタートした。コンセプトは“おまじないをかけたように、自分の中のまだ見ぬ自分と出会えますように”。レースやベロアなどの素材や、ふんだんなビジューで装飾したドレスやアクセサリーによってロマンチックでドリーミーな世界観を作る。
“MEMORIES”をテーマした20体のコレクションで、幼少期に自身の姉と人形遊びをした記憶をたどった。田中デザイナーは当時、おもちゃ箱に人形やビーズ、スパンコールなどを集めるのが好きだったといい、ゲストに事前に送るインビテーションには、ビーズやスパンコールをちりばめたものをプリントした。会場では、ゲストの足元にもそれらがこぼれ落ちていた。
「タナカダイスケ」流
オケージョンも日常着も
今季はベビーピンクを大胆に採用した。これまではモノトーンやブラウンなどの落ち着いたカラーパレットをメインにしてきたものの、「ピンクに憧れがあり、それを強調したかった」と、序盤とラストをオールピンクのコレクションが飾った。絵本から飛び出したようなレッドとライトブルーのドレスは、上半身には王子さまのジャケット、下半身にはお姫さまの衣装のように、ボリュームたっぷりのスカートをドッキングした。胸元に大きなリボンとティアードのフリルをあしらったビスチェは、後身頃をトレーンのように長くして華やかさを加える。さらに、シルバーの糸を粗く編んだニットのセットアップや、パーティーで部屋を飾るキラキラのモールを裾に施したラメスカート、アンダーブーブを小さくカットアウトしたベロアのドレスなど、ロマンティックなディテールを連続させて世界観を感じさせた。
日常使いできるようにカジュアルダウンしたアイテムも多数登場した。肩にペイズリー柄の一部を刺しゅうしたダークグレーのジャケットや、側面にレースでラインを施したシャーベットカラーのジャージーのセットアップ、表面を箔プリントでまばらに覆ったスリムパンツで、シンプルなデザインの中にデコレーションを忍ばせる。カジュアルさの代表格であるジーンズも、スパンコールの3D刺しゅうで天使の羽のように飾った。
ブランドコンセプトの“おまじない”に合わせて、魔導書を持ったモデルも登場。ショーの最中は、会場中心の天井からスパンコールが降り注いだ。デザイナーの頭の中のおもちゃ箱をひっくり返したようなコレクションはまるで夢の中のようで、フィナーレ後もスパンコールの“水たまり”でその余韻を残した。