「マリメッコ(MARIMEKKO)」が2024-25年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」に参加し、日本のファッションシーンを支援するプロジェクト「バイアール(by R)」の一環としてランウエイショーを開催した。従前、「バイアール」は“日本発のファッションブランドを支援する”という目的だったが、冠スポンサーの楽天は、「長い歴史を持ち、さまざまなコラボレーションを通して新たなチャレンジをしてきたブランド。より多くの人に東京ファッションウイークを知ってもらうきっかけになると思った」と説明した。
コレクションは、まさに「マリメッコ」の世界。大勢に愛される代表的なモチーフの“ウニッコ”は、ニットや白シャツ、ワンピース、デニムなどの気取らない、清潔感あふれるアイテムに溢れ、レザーで作った“ウニッコ”を貼り付けたネックウオレットやバッグも登場。モヘアのニットやプリーツスカート、中綿入りのコートやネオプレンのワンピースなど、「マリメッコ」では通常見かける機会の少ないアイテムや素材もあった。カラフルな色柄や、マルチカラーのボーダーウエアで作る軽やかなスタイルは、FPMの田中知之によるDJも手伝い、会場全体に軽やかで爽やかなムードを届けた。
「マリメッコ」を支援は、「東コレを開く」が……
が、「バイアール」がこれでよかったのか?には疑問が残る。その大義を“日本発のファッションブランドを支援する”から、“日本のファッションシーンを支援する”に広げたことに口を挟むつもりはない。“日本のファッションシーン”を代表するブランドの1つとして「マリメッコ」を選ぶこともあるだろう。ブランドにとって、日本は母国のフィンランドに次ぐ2番目の市場規模で、その証拠に「マリメッコ」の生活雑貨は多くの日本人にも愛されている。冠スポンサーを務める楽天としては、人気ブランドをECで取り扱い、販売する意味も大きかっただろう。今シーズンは、多くのブランドが大勢のゲストを招いたり、一般の人も見られる屋外をショー会場に選んだり、「東コレを開く」流れもある。「マリメッコ」は、こうした流れにも合致する。
しかし、ならば「マリメッコ」が解釈する“日本のファッションシーン”や、今後の“日本のファッションシーン”に寄与すべく「マリメッコ」が考えること、が見たかったのは本音だ。コレクションは、「マリメッコ」らしい「マリメッコ」で、それ以上のものではなかった。自分の葛藤やダークサイドまでさらけだし、全身全霊でクリエイションに臨んでいるブランドを数多見ているからこそ、「支援すべきは、『マリメッコ』だったのだろうか?」と思ってしまったのは否めない。同じブランドを複数回支援しても良いのではないだろうか?
「マリメッコ」は「マリメッコ」らしかっただけに、そんな風に思ってしまう自分を申し訳なく感じる。