アンナ・チョイ (ANNA CHIOI)=デザイナーが手掛けるウィメンズブランド「ヘンネ(HAENGNAE)」は16日、「楽天 ファッション ウィーク東京 (Rakuten Fashion Week TOKYO)」で2024-25年秋冬コレクションを発表した。
同ブランドのコンセプトは"強きロマンチストのための洋服"で、自愛精神を含めた“愛”を洋服で表現しようと試みる。立ち上げ7シーズン目で初めてのショーは、2021-22年秋冬のファーストコレクションのテーマと同じ"loving philosophy(愛する哲学)"を掲げ、ブランドの原点に立ち返った。
「ヘンネ」のブランドカラーにはレッドとベージュ、ブラックの3色で、それぞれに愛と優しさ、強さの意味を込める。ショーではファーストルックから7体連続でオールレッドのスタイルを披露し、続けてベージュ、ブラックのワントーンコーディネートも同数ずつ登場。ゲストにブランドのシグニチャーを印象付けた。
シルエットや素材は、過去のコレクションから象徴的なものを選んで再構築した。ギャザーをたっぷりと膨らませたアームカバーや、ショルダーをなめらかにカーブさせて袖をバルーン状にしたジャージーブラウス、細かいプリーツの入ったラップスカートや、レザーのキャミソールとチュールスカートをドッキングしたドレスでは、縦長のシルエットを強調する。張り出したチュールでAラインを描くスカートも登場した。
シルエットの着想源は餅やシュウマイ
これらのアイテムには日本ならではのエスプリを効かせており、“おもちスリーブ”や“ちくわぶラップスカート”“きしめんレザードレス”“シュウマイスカート”などのユニークな名前を付けている。ブランド初のキルティングコートについては、新潟の縫製工場の協力を得て、全てニットで編んでおり、「うどんみたいな毛糸をつぶしながら、ステッチをかけて作った」とチョイ=デザイナーは笑った。
ほかにも、ベルトループ付きのスカートをベアトップにして、デコルテを美しく見せるドレスや、ヘアアクセサリーのシュシュのような形の帯ベルトも登場した。ブランドロゴ入りのシアーなボディースーツや、楕円形のホールをメッシュ状に開けたニットドレスは、フェティッシュなムード。また、大きく膨らませたスリーブやドレスに、巾着のようにたゆませた小さなバッグを合わせたスタイリングは、マトリョーシカを着想源にしたという。
チョイ=デザイナー本人こそが“強きロマンチスト”という印象で、愛に溢れた空間づくりに長けていた。ショー開始直前、スタッフ全員に「最後まで行くよ!」「ぜがひでも洋服をみんなでお送りしましょう」とこまめに声をかけ、ショー後は「やり切った!」というような爽快感でいっぱいの笑顔を浮かべ、友人らや自身の家族に囲まれていた。多くのゲストが駆けつけていたのは、人を引きつけるデザイナーの人柄もあるのだろう。