ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)は、自身が1986年に創業したブランド「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」のクリエイティブ・ディレクターを6月で退くことを発表した。一報を出した後の反響の大きさからは、ドリスがどれだけファッション業界や服好きから愛されてきたが伺える。そして、退任にショックを受ける人々が知りたいのは、何よりもドリス自身の言葉だろう。ここでは、ドリス本人からのレターを公開する。
1980年代初頭、アントワープ出身の若者だった私が描いた夢は、ファッションの中に何かを伝える声をもつことでした。ロンドン、パリ、さらにその先へ私を導いたこの旅を通して、そして数え切れないほどの人々の協力や支えによって、その夢は実現しました。
そしてこれからは、これまで時間を割くことのできなかったすべてのことに焦点を移したいと思っています。このように6月末をもって退任することをお知らせするのは悲しくもあり、同時に嬉しくもあります。私はこの時に備え、しばらくの間準備をしてきました。そして、新しい世代の才能がブランドに新たなビジョンをもたらす余地を残す時期が来たと感じています。
次の2025年春夏メンズ・コレクションが、私の「ドリス ヴァン ノッテン」での現在の役割における最後のショーとなります。
25年春夏ウィメンズ・コレクションについては、長年にわたり非常に緊密に協力してきた私のスタジオ・チームが制作します。彼らは、必ず素晴らしい仕事をしてくれるでしょう。
今後適切な時期に、「ドリス ヴァン ノッテン」のメンズとウィメンズのストーリーを引き継ぐデザイナーを発表する予定です。
しかしながら、私は自分がとても大切にしているこのメゾンに引き続き関わることになります。
マーク・プーチ(Marc Puig)、マヌエル・プーチ(Manuel Puig)、ホセ・マヌエル・アルベサ(Jose Manuel Albesa)、アナ・トリアス(Ana Trias)をはじめ、私たちを信じ続け、さらに強力な会社の構築に協力してくれたプーチ(Puig)の関係者に感謝します。
また、ファブリックやアクセサリーのサプライヤー、アトリエ、メーカー、インドの刺しゅうに携わる人々、そしてたくさんの美しいアイデアを実現するために協力してくれたすべての人に感謝の意を表します。
「ドリス ヴァン ノッテン」チームの全員にも感謝の気持ちでいっぱいです。この数年間、正確に言えば38年間、あなたたちは私にショーを開催し、ショップをオープンし、年に4つのコレクションを制作し、「ドリス ヴァン ノッテン」というブランドを今日の成功に導く機会とエネルギーを与えてくれました。
プーチが私たちのビジネスの一部となって以来、私たちが望むとおりに成長を続けることができました。ビューティと香水のラインが加わり、アクセサリーを拡張し、eコマースをスタートし、エキサイティングで革新的なショップをオープンしました。このブランドには今、たくさんの花が咲き誇っている。庭と同じように、ここに何を植えるかを決めるのはあなたたちです。やがてそれは育ち、ある時が来れば花は咲き続けるのです。
そして言うまでもなく、私とともに全てのコレクション制作に関わり、一番初めからこのメゾンを築くためにサポートし続けてくれたパトリック・ファンヘルーヴェ(Patrick Vangheluwe)に深く感謝します。
最後になりましたが、私たちの活動を愛してくださっているすべての人に、心からの感謝をお伝えしたいと思います。私たちの服が世に出るのを目にし、着る人の人生の中に、その服の居場所があることを知る...。そのことに、私は言葉では言い表せないほどの充実感を感じています。
そして今、私は確信しています。
「ドリス ヴァン ノッテン」の未来は、これからも明るく輝き続けることを。
LOVE,
DRIES