「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」などを擁するケリング(KERING)は、4月23日に発表する2024年1〜3月期(第1四半期)決算において、売上高が既存店ベースで前年同期比10%減となる見通しであることを明らかにした。
これは主力の「グッチ」が特にアジア太平洋地域で予想以上に不調で、24年第1四半期の売上高が同20%減となることが見込まれるためだという。これを受け、ケリングの株価は前日比11.9%安の375.20ユーロ(約6万782円)と急落。時価総額のおよそ62億ユーロ(約1兆44億円)が吹き飛んだ。
同社の23年12月期決算は、売上高が前期比3.9%減の195億6600万ユーロ(約3兆1696億円)、営業利益は同13.9%減の46億4300万ユーロ(約7521億円)、純利益は同17.5%減の29億8300万ユーロ(約4832億円)の減収減益だった。なお、23年9月にデビューショーを披露したサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)「グッチ」新クリエイティブ・ディレクターによるコレクションは、24年2月後半から店頭に並び始めたため、23年の売り上げには含まれていない。
「グッチ」はもともと、中国市場への依存度が高いブランドだ。米投資銀行バーンスタイン(BERNSTEIN)のルカ・ソルカ(Luca Solca)=シニア・アナリストは、「(『グッチ』とケリングの)命運は、中国の消費者がデ・サルノ=クリエイティブ・ディレクターによる“クワイエット・ラグジュアリー”路線を気に入るかどうかにかかっている。しかしながら、新生「グッチ」の行く末については、より具体的な兆候が出てから判断すべきだろう」と分析した。