ケリング(KERING)とアルル国際写真フェスティバルは7月2日、アルルの古代劇場で、日本人写真家の石内都に「ウーマン・イン・モーション(Women In Motion)」フォトグラフィー・アワードを授与する。同日、石内都は作品を紹介しながら、歩んできたキャリアや、写真と社会全般における女性の地位についての考えを観客と共有する。
「ウーマン・イン・モーション」は、映画やアート業界に貢献する女性に光を当て、業界内の男女平等を推進するケリング主催のカンヌ国際映画祭公式プログラムとして2015年に発足。以来、このプログラムは写真を始め、アート、デザイン、音楽、ダンスの分野にも活動の幅を広げている。石内都の作品には、女性というテーマが繊細かつ力強く浸透している。彼女の写真は、主流メディアが示す美の基準に対して、不完全さや傷跡、加齢といったものを称え、見る者に女性らしさや女性性についての自身の認識と向き合うよう促す。
本アワードの受賞を記念し、フランス・アルルのサル・アンリ・コントで、石内都の個展を「キョウトグラフィー(KYOTOGRAPHIE)京都国際写真祭」とコラボレーションして開催する。また、日本に焦点を当てた2つの展覧会も同時開催する。
1つはケリングと同フェスティバルが、「ウーマン・イン・モーション」ラボの取り組みを通じて開催する日本人女性写真家のグループ展「アイム ソー ハッピー ユー アー ヒア(I’M SO HAPPY YOU ARE HERE)」。もう1つは、ケリングが支援する「キョウトグラフィー」による「トランセンデンス(TRANSCENDENCE)」展だ。さらに、「ウーマン・イン・モーション」は新進気鋭の女性写真家を称えるマダム・フィガロ・フォトグラフィー・アワードへの支援を続ける。
石内都は群馬県桐生市生まれ。神奈川県横須賀市で育つ。1979年に「アパートメント(APARTMENT)」で第4回木村伊兵衛写真賞を受賞。2005年、母親の遺品を撮影した「マザーズ(MOTHER’S)」で第51回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に選出される。2007年から現在まで続く被爆者の遺品を撮影した「ひろしま」も国際的に評価されている。13年紫綬褒章受章。14年に“写真界のノーベル賞”と呼ばれるハッセルブラッド国際写真賞を受賞した。