ファッション

「日常使いできる美しいバッグがあったなら」 元数学者が緻密な設計で作る「リュニフォーム」の魅力

PROFILE: ジャンヌ・シニョール/「リュニフォーム」最高経営責任者兼アートディレクター

ジャンヌ・シニョール/「リュニフォーム」最高経営責任者兼アートディレクター
PROFILE: 1977年生まれ。フランス・ボルドー出身。トゥールーズ経済大学院で数学や物理を学び、航空業界や金融業界でもキャリアを積む。バッグメゾンでのコマーシャル部門での統括を経験した後、2014年にリュニフォームを設立。2015年パリの一号店をサンジェルマン・デ・プレ周辺にオープン、その後日本では、2016年に伊勢丹新宿店での常設店、2019年に日本初の旗艦店を丸の内に開店。2023年10月には青山店、そして11月には香港のレーンクロフォード内に店舗をオープンさせた PHOTO:TAMEKI OSHIRO

南フランス発のバッグブランド「リュニフォーム(L/UNINFORM)」は、現地の職人技を間近で見ることができるイベントを東京・⻘山店を皮切りに、阪急うめだ本店、トゥモローランド京都BAL店などで開催中だ。期間中は4つのモデルを対象に好きな色のキャンバス地をオーダーできる。イベント開催に合わせ来日した創業者のジャンヌ・シニョール(Jeanne Signoles)に、昨年オープンした青山の旗艦店で同ブランドの魅力について聞いた。

「リュニフォーム」はスクールバッグやマザーズバッグとしても使えるツールバッグ、コンピューターケース、ペンシルケース、スーツケースなど、日常に寄り添う豊富なラインアップをそろえる。商品はすべてをポルトガルの自社工場で生産する。

「私にとってバッグ作りは、飛行機の製造と変わらない」

最大の特徴は、元数学者でフランスの航空機メーカー大手のエアバスに勤めた経歴を持つシニョールの緻密な設計に裏打ちされた品質だ。人気のサドルバッグ(14万6410円)や、ハンドルとショルダーバッグの2WAYで使えるオールインバッグ(4万3560円)に使用しているキャンバス生地は、厳選したフランス産リネンとコットンで糸からオリジナルで開発。独自の加工技術で撥水や撥油、防汚機能を持たせ、生地が本来持つやわからな風合いと両立させている。

耐久性を担保するのに重要なステッチは、フォーク型の道具を使用しバッグ・レザー製品には10〜11mmに3ステッチ、スモールレザーグッズは10〜11mmに4ステッチという規定で丁寧に縫い合わせている。「私にとってバッグ作りは、飛行機の製造と変わらない。正確な設計が重要で、色や形、ステッチの数、すべてのディテールに理由がある」。

シニョールは「細部まで完璧で一貫した品質こそがブランドを象徴する」と強調する。「目に見えない部分にも完璧を追求するのが私のモットー。例えばポケット。他のラグジュアリーブランドでは、表地がレザーでも内側にコットンやポリエステルが使われているものがある。私はものの出し入れをする内側には耐久性のあるカーフレザー、外側には手触りのよいラムレザーを使用して1枚に縫い合わせている」とこだわりを語る。

今回の店舗イベント中は製品を縁取る革がしなやかに曲がるよう小さな山型にカッティングするピンキングの作業やコバ塗りの作業を職人が実演してくれる。「これまであまり多くを語ってこなかったからこそ、こうした機会を通して私たちが大事にしているものを伝えたい」という。

「ギャルソン」好きから「シャネル」好きまでが愛用

ゴヤール家のシニョールは、「ゴヤール(GOYARD)」のビジネスに携わったのち2014年に夫のアレックスと同ブランドを立ち上げた。「双子の母として育児をする中で、買い物バッグや子どものお菓子を入れるバッグ、化粧品を入れるポーチなど日常的に使う入れ物でなかなか良いものが見つけられなかった。市場には安いナイロン製のバッグか、とても高価で重たくメンテナンスも困難なラグジュアリーバッグしかない。日常的に使える美しい製品が欲しいというのがアイデアの出発点だ」。

デザインは至ってシンプル。年齢やジェンダー問わず、すべての人々の日常生活に寄り添うことがシニョールの目的だからだ。「私はデザイナーではないし、何か新しいデザインを生み出したいとは考えていない。美しい素材を使って完璧な設計図に基づいて製品作ることが私の仕事。でも、非常にベーシックなデザインだからこそ結果的にさまざまなファッションテイストを持つ人々が愛用してくれている。店舗には『メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)』を着た人から『コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)』や『シャネル(CHANEL)』を着た人も来てくれる」。

昨年からは卸販売を開始した。なかでも日本は注力市場だという。「20代の時に初めて日本を訪れた時から、日本が大好き。人々のライフスタイル、シンプルなものに見出す美学に魅了される。『リュニフォーム』は日本の人々の価値観にマッチする商品を届けられるとはず」。現在日本では、青山店、丸の内店のほか、阪急うめだ本店やトゥモローランドなどで取り扱う。

■「リュニフォーム」サヴォアフェール イベント
日程:3月29、30日
営業時間:10:00-20:00
場所:阪急うめだ本店
日程:3月31日
営業時間:10:00~20:00
場所:トゥモローランド 京都BAL店 2階
※時間およびイベント詳細は要問い合わせ

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。