PROFILE: ジャンヌ・シニョール/「リュニフォーム」最高経営責任者兼アートディレクター
南フランス発のバッグブランド「リュニフォーム(L/UNINFORM)」は、現地の職人技を間近で見ることができるイベントを東京・⻘山店を皮切りに、阪急うめだ本店、トゥモローランド京都BAL店などで開催中だ。期間中は4つのモデルを対象に好きな色のキャンバス地をオーダーできる。イベント開催に合わせ来日した創業者のジャンヌ・シニョール(Jeanne Signoles)に、昨年オープンした青山の旗艦店で同ブランドの魅力について聞いた。
「リュニフォーム」はスクールバッグやマザーズバッグとしても使えるツールバッグ、コンピューターケース、ペンシルケース、スーツケースなど、日常に寄り添う豊富なラインアップをそろえる。商品はすべてをポルトガルの自社工場で生産する。
「私にとってバッグ作りは、飛行機の製造と変わらない」
最大の特徴は、元数学者でフランスの航空機メーカー大手のエアバスに勤めた経歴を持つシニョールの緻密な設計に裏打ちされた品質だ。人気のサドルバッグ(14万6410円)や、ハンドルとショルダーバッグの2WAYで使えるオールインバッグ(4万3560円)に使用しているキャンバス生地は、厳選したフランス産リネンとコットンで糸からオリジナルで開発。独自の加工技術で撥水や撥油、防汚機能を持たせ、生地が本来持つやわからな風合いと両立させている。
耐久性を担保するのに重要なステッチは、フォーク型の道具を使用しバッグ・レザー製品には10〜11mmに3ステッチ、スモールレザーグッズは10〜11mmに4ステッチという規定で丁寧に縫い合わせている。「私にとってバッグ作りは、飛行機の製造と変わらない。正確な設計が重要で、色や形、ステッチの数、すべてのディテールに理由がある」。
シニョールは「細部まで完璧で一貫した品質こそがブランドを象徴する」と強調する。「目に見えない部分にも完璧を追求するのが私のモットー。例えばポケット。他のラグジュアリーブランドでは、表地がレザーでも内側にコットンやポリエステルが使われているものがある。私はものの出し入れをする内側には耐久性のあるカーフレザー、外側には手触りのよいラムレザーを使用して1枚に縫い合わせている」とこだわりを語る。
今回の店舗イベント中は製品を縁取る革がしなやかに曲がるよう小さな山型にカッティングするピンキングの作業やコバ塗りの作業を職人が実演してくれる。「これまであまり多くを語ってこなかったからこそ、こうした機会を通して私たちが大事にしているものを伝えたい」という。
「ギャルソン」好きから「シャネル」好きまでが愛用
ゴヤール家のシニョールは、「ゴヤール(GOYARD)」のビジネスに携わったのち2014年に夫のアレックスと同ブランドを立ち上げた。「双子の母として育児をする中で、買い物バッグや子どものお菓子を入れるバッグ、化粧品を入れるポーチなど日常的に使う入れ物でなかなか良いものが見つけられなかった。市場には安いナイロン製のバッグか、とても高価で重たくメンテナンスも困難なラグジュアリーバッグしかない。日常的に使える美しい製品が欲しいというのがアイデアの出発点だ」。
デザインは至ってシンプル。年齢やジェンダー問わず、すべての人々の日常生活に寄り添うことがシニョールの目的だからだ。「私はデザイナーではないし、何か新しいデザインを生み出したいとは考えていない。美しい素材を使って完璧な設計図に基づいて製品作ることが私の仕事。でも、非常にベーシックなデザインだからこそ結果的にさまざまなファッションテイストを持つ人々が愛用してくれている。店舗には『メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)』を着た人から『コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)』や『シャネル(CHANEL)』を着た人も来てくれる」。
昨年からは卸販売を開始した。なかでも日本は注力市場だという。「20代の時に初めて日本を訪れた時から、日本が大好き。人々のライフスタイル、シンプルなものに見出す美学に魅了される。『リュニフォーム』は日本の人々の価値観にマッチする商品を届けられるとはず」。現在日本では、青山店、丸の内店のほか、阪急うめだ本店やトゥモローランドなどで取り扱う。
■「リュニフォーム」サヴォアフェール イベント
日程:3月29、30日
営業時間:10:00-20:00
場所:阪急うめだ本店
日程:3月31日
営業時間:10:00~20:00
場所:トゥモローランド 京都BAL店 2階
※時間およびイベント詳細は要問い合わせ