栗原たおによる「タオ(TAO)」は3月27日、東京・南青山のコム デ ギャルソン社でミニショーを開催し、2024-25年秋冬コレクションを披露した。
ショーは、弦楽器とピアノが軽快にかけ合う協奏曲でスタート。眉を白く染めたモデルは、パステルカラーのヘッドピースでウォーキングする。ファーストルックは純白のキルティングコート。インサイドアウトのように洋服の構造を詳らかにするコートは、サイドのゴムが記事を摘んでプリンセスラインを描く。ダブルの仕立ても含めてドレッシーなムードだ。
その後は、18ルック続けてオールホワイト。ただ、白と一口に言えども、その幅は広い。ビンテージの風合いをもつ生成色から、クリーム色まで多彩に盛り込んだ。栗原デザイナーにとって、白はさまざまな意味を持つ。本人は「好きな色」でもあるし、22年春夏シーズンに「自分らしさを表現した」ように、自身のアイデンティティーを象徴する色でもあるという。今季は “ハピネス”をテーマに掲げつつ、白で幸せや優しさ、前向きな気持ちを表した。
ハピネスのイメージは、繊細な刺しゅうやレース使い、フラワーモチーフにも落とし込んだ。毛糸で花の刺しゅうを施したオーガンジーのボレロには、さらに大ぶりの花のコサージュをあしらった。また、半身をレース素材で仕上げたアシンメトリードレスは、もう一方の半身に小花の飾りをドットのように散りばめ、「タオ」らしい丸襟のシャツは、さまざまなレースの切れ端のプリントで全面を飾る。
ギャルソン社の「強さ」のエッセンスも
フリルやプリーツなどの「タオ」が得意とするディテールも忘れない。魚のひれを思わせるフリルをレースドレスの胸元に縦断させたり、付け襟にはプリーツを施したジャボをドッキングしたり。シャツやパンツのシルエットは、プリーツでチューリップの花弁のようにそりかえらせた。
ショー中盤は、それまでの明るいムードから、しっとりとした曲調に一転。教会の鐘の音が鳴り響く中、ブロックチェックパターンをさりげなくプリントした、黒のサロペットを着たモデルが登場する。足元にはポンポン付きのスニーカーを合わせ、スタイリングに遊び心を加えた。前シーズンに引き続き、フランスのシューズブランド「パトリック(PATRICK)」とコラボした。白をメインとした前半パートに逆行するかのように、以降はオールブラックのルックを繰り出し、ギャルソン社のブランドに欠かせない「強さ」を効かせた。
フィナーレにかけては、再び白一色のスタイルにカムバック。「ハピネスを表現するために、白で始めて白で終えることを意識した」と、栗原デザイナーはショー後にコメントした。