オンワードホールディングスは1日、2024年度入社式を東京・芝浦のオンワードベイパークビルディングで実施した。「一人一人の個性を尊重し、自信を持てるように」と、同社の入社式としては初めて、新入社員の服装を自由とした。
今年は121人の新入社員が加わった。入社式では各々自分らしい服装に身を包み、特設のランウエイを歩いて入場した。採用の内訳は、中核会社のオンワード樫山が75人、オンワードコーポレートデザインが16人、オンワードデジタルラボが2人、チャコットが10人、アイランドが5人、クリエイティブヨーコが8人、ギフトの大和が5人。
オンワードグループは近年、アパレルメーカーの枠を超え、デジタルやライフスタイルなどへビジネスの領域を広げている。登壇したオンワードホールディングスの保元道宣社長は、「今日の新入社員の皆さんのファッションは本当に個性豊かだ。リクルートスーツばかりの組織よりもワクワクする。これからのビジネスにおいて必要とされるのは多様性。さまざまな領域のプロと仕事をする中で、さまざまなことを吸収してほしい」と語った。
いい意味で“オンワードらしくない”
新入社員たちがやりたいことは?
保元社長の言葉通り、「大手アパレル」のコンサバなイメージを覆すような、攻めたファッションが目立った入社式。自分らしい服装を貫く、いい意味でオンワードらしくない新入社員たちは、どんな期待を胸に入社を決めたのだろうか。
オンワード樫山のデザイナーとして入社する長谷川夏奈さんは、「プランクプロジェクト(PRANK PROJECT)」のジャケットとパンツをチョイスした。「ジャケットさえ着ておけば、フォーマル」というのは、Z世代ならではのファッション感覚なのかもしれない。子供のころに着て育った「組曲」に今もあこがれているという長谷川さん。「たくさん吸収して、会社にはやく貢献できるようになりたい」と話した。
最終面接で一緒だったことから仲良くなった、オンワード樫山パタンナー採用の岡野未怜さん、曽我美咲さん。岡野さんは自作のシャツ、ジャケット、ハーネスで身を固め、髪型は編み込みを両サイドからぶら下げた「羊ヘアー」。曽我さんはD2Cブランド「ネイス(NEITH)」と「スパイラルガール(SPIRAL GIRL)」のパンプスがおしゃれだ。「入社後はやれることを全部やって、いろんな挑戦をしたい」という2人の爆発力に期待したい。
落合雪奈さんは、全面プリントの自作ワンピースが目を引いた。グラフィックは趣味のカメラで撮影した花の写真をぼかし加工したもの。オンワード樫山の中ではニッチな規模の「エイトン(ATON)」でパタンナーをしたいとのこと。
オンワード樫山のファッションスタイリスト職(販売職)での採用となった本田陸人さんは、日本の着物とブータン王国の民族衣装をミックスしたスタイルで、すでにただものではないオーラ。神戸芸術工科大学の卒業制作で披露した作品だそうだ。コロナで学校に行けなかった2年間は、スーツ量販のAOKIでアルバイトしたり、イベントポスターをデザインしたりして、社会人になる準備をしていたそう。「デザインとビジネスを両軸を学べる環境に身を置きたいと思い、オンワードを選んだ」(本田さん)。
自社ブランドには縛られないが、スタイリングでしっかりとオンワードらしさを表現する新入社員たちもいた。オンワード樫山総合職採用の丹羽勇斗さんは、見ての通りアメリカントラッドスタイルが大好きで、配属は「J.プレス(J.PRESS)」志望(ただし入社式に着てきたのは「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS」)。
ファッションスタイリスト職の難波佳央さんは、ファンシーツイードの半袖ジャケットとシアー素材のトップスをレイヤードし、オンワードらしいキャリアスタイルと自分の個性をうまくミックスさせていた印象だ。オンワードを選んだ理由については、「説明会や面接の空気感がとてもよかったから。好きなブランドがたくさんあり、今はどれに配属になりたいか絞りきれない」と笑顔を見せた。