米ブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)は、ヘインズブランズ(HANESBRANDS)から、「チャンピオン(CHAMPION)」を10億ドル(約1510億円)強で買収することに非公式に合意した。情報筋によれば、来週中にも正式な合意に至る予定で、5〜6月に手続きが完了するのではないかという。契約の成立後、ABGは「チャンピオン」の製造、デザイン、物流、運営などを外注に切り替えるかもしれず、大規模な人員整理につながる可能性もありそうだ。
「チャンピオン」はここ数年にわたって業績が低迷しており、2023年10~12月期(第4四半期)におけるグローバルでの売上高は前年同期比23%減だった。同ブランドを擁するヘインズブランズも不調で、23年12月期の売上高は前期比9.6%減の56億3652万ドル(約8511億円)、営業利益は同44.4%減の2億8878万ドル(約436億円)だった。純損失は前年の1億2720万ドル(約192億円)から1772万ドル(約26億円)と大幅に縮小したものの、引き続き31億ドル(約4681億円)程度の負債を抱えている。
このため、同社は昨年、主軸である「ヘインズ(HANES)」に次ぐブランドの「チャンピオン」を14億ドル(約2114億円)程度で売却する意向を明らかにしていた。その際、ABGに加えて、投資会社シカモア・パートナーズ(SYCAMORE PARTNERS)、イスラエルを拠点とするアパレルメーカーのデルタ・ガリル・インダストリーズ(DELTA GALIL INDUSTRIES)、G-IIIアパレル グループ(G-III APPAREL GROUP)、ブランドマネジメント会社WHPグローバルなども買収に関心を示していたという。
ABGは、「フォーエバー21(FOREVER 21)」、「リーボック(REEBOK)」「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」「テッドベーカー(TED BAKER)」や、スポーツ月刊誌「スポーツ・イラストレイテッド(Sports Illustrated)」など、さまざまなカテゴリーで多数のブランドを保有している。23年4月には「クイックシルバー(QUIKSILVER)」「ビラボン(BILLABONG)」「ロキシー(ROXY)」「DCシューズ(DC SHOES)」などを擁する米サーフウエア会社ボードライダーズ(BOARDRIDERS)を、6月にはラバーブーツで知られる英ブランド「ハンター(HUNTER)」の知的財産権を買収。10月には、「フォーエバー21」のライフスタイルおよびファッションカテゴリーにおいて、グローバルSPAブランド「シーイン(SHEIN)」と長期的なパートナーシップ契約を締結した。
「チャンピオン」は1919年、ニューヨークのローチェスターで誕生。メンズおよびウィメンズのスポーツウエアやカジュアルウエア、フットウエアなどを製造販売している。日本では、2016年3月にゴールドウインが「チャンピオン」事業をヘインズブランズ ジャパンに譲渡している。