企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回は、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の財務諸表からその継続成長の秘密を探る。(この記事は「WWDJAPAN」2024年4月8日号からの抜粋です)
今回は1号店の出店以来「34期連続増収・営業増益達成」という実績を上げた、ドン・キホーテ(以下、ドンキ)を擁するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の財務諸表から、そのビジネスモデルと強みを考えてみます。
PPIHの創業は1980年。「泥棒市場」という24時まで営業する雑貨店で成功した安田隆夫・創業会長兼最高顧問がジャスト(現PPIH)を創業して、89年に府中にドンキ1号店をオープン。2023年6月期の売上高は1兆9368億円で、営業利益は1053億円で、創業以来、増収増益を続けています。日本の小売業の中ではセブン&アイ・ホールディングス、イオン、ファーストリテイリングに次ぐ第4位の売り上げ規模になります。
10店舗を構える前にPOS(販売時点情報管理)やEOS(電子発注システム)を導入し、その後、1996年の株式店頭公開を経て、10店舗目を出した翌年に東証2部に上場しているあたり、かなり初期から大規模なチェーンストア展開を想定していたのだろうと思われます。
2000年に東証1部に上場して、そこから全国展開、06年にダイエーのハワイを買収して海外進出を果たし、同年、長崎屋、MARUKAI(米国のスーパーマーケット)を買収。さらに、直近ではユニーを買収した19年に大きく規模を拡大しました。店舗数は23年6月末時点で718店。ユニーが展開していたGMSの「アピタ」「ピアゴ」(131店舗)以外は、基本的にディスカウントストア事業(486店舗)で、国内に617店構えています。海外では米国に65店、アジアに36店。基本的に海外は食品がメインで、日本の食材や惣菜が買える店として知られています。
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