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阪急阪神百貨店で新アワード表彰式 2295人の社員がエントリー

阪急阪神百貨店は、社内報奨制度「カスタマーサクセスアワード」の第1回表彰式を3月22日、阪急うめだ本店で行ない、最終審査に残った5人の受賞者の順位を発表した。

同社は「お客様の暮らしを楽しく、心を豊かに、未来を元気にする『楽しさNo.1百貨店』」というビジョンを掲げている。その具現化のために、2023年度からは社員が共有する価値観や行動指針を設定。「お客様の喜びは私たちの喜び」というバリューを掲げ、「お客様の興味、関心ごと、課題に気づき共感し、心動く解決をし続けることでお客様と私たちが共に成長し喜ぶ」ことを目指している。

こうしたバリューに基づく行動で成果をあげた社員を評価し、その事例を社内で共有することで、顧客基点で働くという企業文化を醸成しようというのが「カスタマーサクセスアワード」設立の目的だ。優れた人材とビジネスの種の発掘にもつなげる。

対象は百貨店勤務の全社員。自身でエントリーしたあと、実際にテーマを決めて顧客の課題解決に取り組み、そのプロセスと結果などをまとめて個人で応募。審査は部門長による一次選考、店長・組織責任者による二次選考、担当役員による三次選考を経て、最終選考では社長を含めた全役員に対してプレゼンテーションを行う。審査基準は、顧客理解度、情熱(チャレンジ性)、創造性、顧客の共感度、継続性、インパクトの6項目。最終選考を通過した受賞者は、ライブ配信などで社員にもプレゼンテーションを行い、全社員による投票と最終選考の結果によって金賞、銀賞、銅賞が決まる。

第1回目のエントリー数は全社員の56%にあたる2295人で、約7割の1677人が取り組みを実践して応募した。最終選考では5人が選ばれた。

金賞を受賞した阪急本店シスターズクローゼットの馬場泰世さんは、病気や体調の変化に左右されずにランジェリーを楽しむための商品を開発。授賞式では「1人のお客さまのお声から始まった商品開発だったが、阪急本店の婦人肌着チーム一丸となって取り組んだので、成功できたのはその力の賜物だと思う。今回、悩みを抱えているお客さまが大勢いることがわかったので、問題を解決できる商品を提案できる売り場をこれからも作っていきたい」とあいさつした。

 銀賞受賞者は、ハレの日のレンタルドレスサービスを企画したファッションワールドコンテンツ開発部の武田美由貴さんと、子育てファミリーに支持される店づくりに取り組む高槻阪急スクエアの伊藤厚子さん、銅賞受賞者は、インスタグラムでデパ地下の最新情報を配信する阪急本店フード販売統括部の川﨑裕子さんと、感動と癒しでエンゲージメントを深めるお得意様外商部の富永隆幸さんに決まった。 

 授賞式で山口俊比古社長は「顧客の自己実現を支援するコミュニケーションリテーラーというビジネスモデルに転換していくためには、私たちが大切にするマインドバリューを社員全員とまず共有することが大切。全社員がこのバリューに基づく行動をするための企業文化を作り、それを根づかせていくために、全社員参加型の報奨制度を立ち上げた。受賞された5名は、常にお客さまに真摯に向き合い、課題や関心事に共感し、自らのウィルを持って行動する中で継続的にお客様の声を聞きながら課題解決に向けて取り組んできた。その結果が本日の受賞につながった」と話した。

今回、当初の予想を上回るエントリー数と応募数があったことについては「大変うれしい。自ら手を挙げて一歩を踏み出し、完遂した人が全社員の4割にのぼり、投票数も5割以上というのは、初年度としてはよかったと思う」と述べた。ただ同アワードは、従業員が顧客基点で働くという企業文化を醸成するのが目的であるため、長期にわたっていかに継続していくかが大きな課題となる。継続していくための重要なポイントが、部門上長のフィードバックだ。「フィードバックがあれば、今回応募した人は2年目も継続できるし、応募できなかった人は実践に移せるようになる。エントリーしなかった人も関心を持つことでお客さまの課題に気づくことになるかもしれない。上長にはいま、サーバントリーダーシップマネジメントが求められている」という。

山口社長自身も2020年の社長就任時から積極的に社員とのコミュニケーションを図ってきた。社内向けポータルサイトの動画に出演し、定期的にメッセージを配信。動画に対するアンケートの回答や質問にも自らフィードバックするなどデジタルとリアルの両面で意識改革の必要性を訴えている。

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