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スタイレム、営業益28.2%増 海外テキスタイル販売好調 24年1月期

服地卸大手のスタイレム瀧定大阪(未上場、連結)の2024年1月期連結業績は、売上高が前期比3.1%増の792億円、営業利益は同28.2%増の45億円だった。大幅な賃上げで販売管理費が膨らんだが、売上総利益率が前年より2.3ポイント改善し、大幅増益となった。

好調要因について瀧隆太社長は「各事業で全方位的に利益が伸長した。なかでも、欧米市場を中心に海外テキスタイル事業が好調だった。国内の製品OEM事業も円安、調達コスト増という逆風下ではあったが、増収増益だった」という。

品目別の売上高は、原料が同4.3%増の24億円、生地が同3.8%増の438億円、衣料製品が同1.8%増の286億円、ライフスタイル製品が同1.0%増の33億円、その他は同17.8%増の9億9500万円だった。海外現地法人の単純合算は、為替要因が影響し、前期比10%増の約170億円。輸出は欧米向けが約40億円、中東向けが29億円に伸びた。

一方、各事業で大きな課題に直面した1年でもあった。国内テキスタイル事業は増収増益だったものの、産地の人手不足や賃金上昇などの影響でリードタイムの長期化が深刻になり、昨年後半から減速傾向が顕著になった。暖冬で防寒品が売れず、流通在庫が多いのも一因という。また、好調な海外テキスタイル事業でも欧州を中心にサステナビリティの要求水準が年々高まり、環境規制への対応や循環型ビジネスモデルへの移行が求められている。

酒向正之・副社長は「染色だけでなく、一時期は縫製も非常にタイトになり、リードタイムの長期化による機会ロスが生じた1年だった。そこをいかに改善していくかが24年度の課題。取引先の直貿化も増えてきていて定番品は厳しい。付加価値のある商品に変えていく必要がある」と話す。

こうした流れを踏まえた24年度の見通しについては、コロナ禍からのリベンジ消費が一定の落ち着きを見せ、全体としては減少傾向にあると予測。「ただ今年は大事なファクターとして、コストプッシュインフレが広がり、賃金上昇も比較的力強く広がっている。インフレの好循環に入れば、健全な経済成長にアパレル業界も入っていくべき。ただ、リードタイムの問題を抱える国内のテキスタイル販売は決して予断許さない。改善に向けてあらゆる手を尽くしていく。一方、中国を初めとする世界経済の情勢も不透明ではあるが、海外では引き続き、伸ばしていける手応えはある」(瀧社長)と述べた。

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