東急不動産は9日、開業を4月17日に控える複合施設「東急プラザ原宿『ハラカド』」(東京都渋谷区)を関係者に公開した。原宿の中心である神宮前交差点の角地にの地上7階・地下1階・延べ床面積1万9940平方メートルに70店舗が入る。物販や飲食の店舗だけでなく、著名なクリエイターのオフィスやスタジオを置いたり、入居者同士の協業を促したりするなど、実験的な取り組みを推進する。東急不動産の執行役員の黒川泰宏本部長は、「ハラカドは商業施設ではなく“創造施設”。クリエイティブなマインドを持つ人たちが交流することで、新しいカルチャーを発信する場にしたい」と話す。
物販では表参道沿いの路面に「ジョー マローン ロンドン」、明治通り沿いに「ディオール」(秋開店予定)が営業するほか、1〜2階にファッション、雑貨、化粧品、食物販などが入る。ハラカドの目玉の一つ、銭湯の「小杉湯」は地下1階で朝7時から営業する。
原宿は昔からファッションをはじめとした多様な文化を生み出してきたが、ハラカドはその歴史を継承する場を目指している。それを象徴するのが3階の“クリエイターズプラットフォーム”だ。デザイン事務所のれもんらいふのオフィス、博報堂ケトルの撮影スタジオ「スチームスタジオ」、ラジオ局のJ-WAVEのスタジオ、作品や商品を展示するギャラリーやポップアップスペースを配し、会員制ラウンジ「ベイビー・ザ・コーヒーブリュー クラブ」が要になるかたちで、クリエイター同士のさまざまな協業やイベントを推進する。
ハラカドに入るテナント同士、あるいはテナントとクリエイターの協業も積極的に促す。たとえば「小杉湯」と複数の飲食店が協業した“銭湯飯”は、湯上がりに飲み食いしたくなるメニューを企画する。物販のテナントのキャンペーンに、入居するクリエイター企業がデザインその他で協力する。そうした協業のプロセスもSNSで公開することで共感を集める。
超一等地の利点を生かして、売り場内や屋上テラス、「小杉湯」の休憩スペースなどでポップアップなどのイベントも積極的に行う。屋外の大型ビジョンも、斜向かいの東急プラザ表参道「オモカド」と合わせて活用する。
黒川本部長は「従来の商業施設のビジネスモデルとは一線を画すことになる」と話す。収益面で物販の割合は半分強くらいを想定し、それ以外をリテールメディアを含めた新しい取り組みで稼ぐ。