ジュエリーで服を仕立てたようなアイテムが増えてきました。チェーンとビスチェを一体化したり、トップスにキラキラのパーツを縫い込んだり。“ボディージュエリー”と呼ばれる、素肌にまとうタイプも登場しています。装いをエンパワーメントする進化系アクセサリーとしてさらに広がりを見せる予感。薄着であっさり見えがちな春夏コーディネートの格上げにも役立ちそうです。
服の上からも重ねやすいのが、“ボディージュエリー”の長所。チェーンで編み上げたブラレットをカーディガンの上から重ねて、センシュアルさとエッジーさをプラスした着こなしに。本来は穏やかな表情のニットルックが、チェーンブラのおかげでぐっとエモーショナルに様変わりしました。今回は、国内外の2024年春夏コレクションから“着るジュエリー”に関する提案をピックアップしました。
エスニック×キラピカミックス
「ラバンヌ(RABANNE)」は、ブランド誕生当初からメタリックがお得意。フューチャリスティックなキラピカなイメージで知られていますが、今シーズンは中東ムードとシルバーデコレーションを重ね合わせたような、エスニックなスタイルを発表しました。他のルックでも“ボディージュエリー”が続々と登場。ランウエイが華やぎました。顔周りにジュエリー要素を迎えると、レフ板効果で明るく映るので、春夏のライトな装いにまばゆさを添える上でも効果的です。
繊細ではかなげが新傾向
これまでジュエリーを配した演出はゴージャスな印象が強めでしたが、新傾向の着用スタイルは繊細ではかなげ。「ミューラル(MURRAL)」からは、大小さまざまな透明のパーツをあしらった、立体的なジュエルビスチェが登場しました。水滴のしたたりをまとったようなきらめきを帯びています。黒のシックなドレスにリッチさをプラス。大ぶりのイヤリングもリュクスな印象を薫らせています。
ビスチェで立体感と華やかさをプラス
今シーズンは、フェティッシュなテイストが勢いづいています。キーアイテムはビスチェ。ジュエルパーツは、グラマラスでアッパーな雰囲気を加えてくれます。「チカ キサダ(CHIKA KISADA)」の人気ビーズビスチェは、丁寧な手仕事が品格を印象付けるフラワービジューとメタルリングのデザイン。コンパクトなフォームに立体感をもたらす上でいい仕事をしてくれます。春夏の涼やかな装いにリッチテイストを寄り添わせてくれるトップスです。
刺しゅうやレースとマリアージュ
キラピカ系の装飾は、クラフトマンシップと好相性です。中でも、手の込んだ刺しゅうやレースとのマリアージュは格別。刺しゅう作家でもあるデザイナーが手がける「タナカ ダイスケ(TANAKADAISUKE)」は、コルセットにクリスタルやシルバー系のジュエルピースをちりばめました。レースと調和させながら縫い付けているので、“着るジュエリー”感が一段と強まっています。主役級の“見せるコルセット”は、もはやアートピース。服の上に着て、視線を引き込むスタイリングがおすすめです。
素肌にまとって反骨エレガンス
素肌に重ねる“ボディージュエリー”も登場しています。ジュエリーのきらめきを際立たせるのに加え、素肌の透明感も引き出す演出です。ジュエリーに強みを持つ「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」は、“ジュエリー服”のパイオニアでもあります。胸元を華やかに演出する“ボディージュエリー”はスリリングな見え具合で、反骨のエレガンス。深いVゾーンジャケットとの相乗効果を生んでいます。
“ボディージュエリー”は、手持ちの服の上からトッピングするだけで一気に新しいムードをまとえます。今回紹介した、日本のモードをけん引する人気ブランドに続いて、今後ますますトレンドアイテムとして広がりを見せそうです。ワードローブの着回しに役立ち、薄着のムードチェンジにも効果的。型にはまらないオリジナリティーを引き出せるので、“ちょっと物足りない”ときの足し算コーディネートの選択肢に加えてみませんか。