パルグループホールディングス(HD)の2024年2月期連結業績は、売上高が前年比17.1%増の1925億円、営業利益が同17.6%増の186億円、純利益が同29.0%増の128億円だった。全項目で過去最高を記録した。
個人消費の回復が想定以上に進んだことから衣料事業はEC(ネット通販)のみならず実店舗でも売り上げが大きく伸びた。とくにアッパー系ブランドの伸び率と利益率の改善が顕著で「ビアズリー」の売り上げが前年比46.5%増、「ウィムガゼット」が同21.3%増など、コロナ禍前の2019年の売り上げを大きく上回った。アッパー系ブランドはEC売上高の伸びも高く、EC化率が40%台を上回るブランドが増えてきている。大型化を進めるカジュアル系の「チャオパニックティピー」は同15.2%増、「ディスコート」は同13.9%。
ほぼ全ブランドが売り上げを大きく伸ばした結果、衣料事業は前年比13.2%増の1197億円となった。店舗の大型化と再編を進めたことにより期末店舗数は前年度より6店舗減少した。衣料事業のプロパー消化率はコロナ禍前に70%弱だったのが、当期は80%を超えた。
雑貨事業の売上高は同23.9%増の725億円で依然として好調が続いている。「スリーコインズ」は140億円超の増収となり、同28.8%増の630億円だった。ただ円安やエネルギー価格の高騰などで仕入れ価格が大きく上昇し、利益を圧迫した。雑貨事業の減益について、中核会社パルの小路順一社長は「1月に対策委員会を設け、中身を検証した。物流費という間接費で改善点が多々出てきたので改善している最中」と話す。
EC売上高については同22.2%増の483億円で、目標の500億円に迫る勢い。今期はさらに600億円の目標を掲げる。アプリ会員数は1200万人を目指す。
25年2月期の連結業績予想は売上高が前期比5.7%増の2035億円、営業利益が同8.1%増の201億円、純利益が同0.7%増の129億円を計画。「チャオパニックティピー」「ディスコート」「コロニー」で先行している店舗の大型化に引き続き取り組み、1店舗当たりの売上高の拡大とコスト抑制を図る。また、社内インフルエンサーのフォロワー数が増えつつあることから伸び代が見込めるアッパー系ブランドでEC売り上げを伸ばし、実店舗との連動でさらなる高みをめざす。
3月にパルのトップに就いた小路社長は、店舗の大型化という目の前の課題を完成させることが自身の一番の役割と認識しているという。「言うのは簡単だが、実際に取り組んでみると難しい。3月、4月に全ブランドと個別にヒアリングして課題を設け、いかに計画を実現していくか話し合う。数年かけてこれを完成させれば、企業としてもさらなる飛躍につながる」と意欲を見せた。