毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年4月8日号からの抜粋です)
益成:4年前、「ミキモト(MIKIMOTO)」と「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」のコラボの影響で男性がパールを着用するようになったのをきっかけに、メンズジュエリーを特集しましたが、当時はまだファッション好きの男性に限られている印象でした。それが近年、若い男性は普通にフープピアスを着けたりしていて、さらに状況が変わったと感じていました。
村上:2022年6月の売れたもの特集で「ディーゼル(DIESEL)」のメンズジュエリーを取材したら、ものすごい勢いで伸びていて、フープピアスも3位にランクインしていました。ランウエイでもメンズブランドはストリートではなくウィメンズを参照するようになり、もはやスカートやレース使いも当たり前です。
益成:そうですよね。若い世代のリアルを知りたくて、座談会を企画しましたが、すごく面白かったです。メンズもウィメンズもブランドもテイストも全く意識していない。「カワイイ」「これが好き」だけで判断しています。ここ数年でここまでガラっと意識が変わったのは正直驚きでした。提案する方と受け取る方の双方に変化が見られ、社会もそれを認めていると感じました。
村上:先日シモーン・ロシャ(Simone Rocha)に「フェミニンなメンズを立ち上げた理由は?」と聞いたら、「フェミニンなメンズを作ろうと思ったことはなくて、ウィメンズ同様にポエティックなメンズができるのでは?と考えた」と語っていました。「フェミニン」「マスキュリン」の二元論でなく、「ポエティック」とか「センシティブ」といった視点で見ると、Z世代のファッションが理解しやすいと思いました。
益成:今までの枠組みってなんだったんだろうと思うくらいです。
先行く提案をする業界であるべき
村上:百貨店などのフロア分けはもちろん、ECで最初に迫られるメンズ・ウィメンズの選択がイヤだという人もいます。「選択肢の半分を失っている」と。ウィメンズの方がバリエーション豊富ですしね。売り場作りも変わらないと、せっかくの商機を失います。
益成:「スーパー エー マーケット」のバイヤーも語っていましたが、かつて「女性がズボン穿くなんて」という時代がありました。ですから、男性が普通にファッションとしてスカートを楽しむようになる日もくるのではないかと。
村上:そうした機運をわれわれも後押ししたいですし、先行く提案をする業界であるべきだと思います。