人工ファーメーカーのエコペル(ECOPEL)はこのほど、100%植物由来原料の生分解性人工ファー「フルール(Flur)」を発表した。同社はこれを従来の石油由来の人工ファーとは全く異なる新たなカテゴリーと位置付ける。
7月の「「プルミエール・ヴィジョン」で大体的に発表予定
同社が2019年に化学メーカー大手のデュポン(DUPON)と発表した人工ファー「コバ(KOBA)」以来、5年ぶりの新製品となる。「フルール」は天然染料でシアリングやモヘアのような風合いを表現している点が特徴だ。価格はさまざまなブランドが利用しやすいよう合成繊維のフェイクファーとほぼ同等を想定する。
7月にフランス・パリで開催される素材見本市「プルミエール・ヴィジョン(PREMIERE VISION)」で大体的に発表予定。同社はそれまでに量産体制を整え、9月のファッション・ウイークには同素材を用いた製品がランウエイ上で見られることを期待したいという。
クリストファー・サルファティ(Christopher Sarfati)最高経営責任者(CEO)は、「革新的なテキスタイルを生み出せた。今ポリエステルやリサイクルポリエステルを購入している顧客は、今後ますます『フルール』のような製品に移っていくはずだ。動物愛護と環境配慮の気運が需要を後押しすることを期待したい」とコメント。
量産に向け生産体制を強化
同時に同社はバイオデザインの専門家をチームに招き、植物由来のテキスタイルの開発およびラインアップの拡大に注力する。フォックスやラビット、ミンク、ラクーンなどのテクスチャーを模倣した製品開発などを視野に入れているという。
エコペルは2022年にはスペインを拠点とする人工ファーメーカーのシルマテックス(Silmatex)、23年にはアレトテクスティル(Areto Textil)を買収した。これにより「フルール」の生産拡大につなげたい考え。サルファティCEOはヨーロッパでのさらなる量産に向け、新たな買収も計画していると明かした。同社は今後2年以内に米国進出も計画している。