松屋の2024年2月期連結業績は、売上高に相当する総額売上高が前期比31.2%増の1149億円、営業利益が同8.5倍の29億円、純利益が同40.0%減の26億円だった。最終減益は、前期に計上した固定資産売却益の反動減。
旗艦店である銀座店の総額売上高は、前期比35.5%増の1018億円となり、過去最高を更新した。これまでの最高は、1992年2月期の863億円だった。同店の業績をけん引したのは訪日外国人による購買で、免税売上高は同83%増の337億円。免税売上高の国別シェアでは、中国が51%で依然トップではあるものの、20年2月期(78%)と比較すれば大きく減少しており、その分台湾(13%)、香港(8%)などアジア圏の他の国が伸びている。
銀座店の国内売上高は前期比2%増。ID顧客(クレジットカードや外商カードなどの会員)に向けたエンゲージメント強化の施策が一定の成果を得た。ID顧客のうち年間100万円以上を購入する優良顧客の売上高は同7%増、20年2月期との比較では43%も伸びた。秋の優良顧客向け催事「松美会」と感謝祭の合計売上高は前期比5%増だった。近隣のラグジュアリーブランドの路面店と連携した優良顧客向けの回遊施策にも力を入れ、同施策を経由した売上高は同58%増だった。
インバウンドの趨勢は「今後も続く」
25年2月期の連結業績予想は、総額売上高が前期比6.1%増の1149億円、営業利益が同15.9%減の25億円、純利益が同46.8%減の14億円を見通す。減益予想は公式ECへの投資を織り込んだもの。古屋毅彦社長は、訪日客がけん引する銀座店の好調について、現在の趨勢が当分の間続くという見方を示す。「銀座は海外のお客さまの明確なディスティネーション(目的地)になりつつある。この流れは中長期的に見ても変わらないはずだ」。今後は訪日客のID会員化や、利便性向上に向けた施策に取り組む。6月には、訪日客向け商品の取り置きサービス、ピックアップカウンターの設置などの施策を講じる。