ファッション

ロベルト・カヴァリが83歳で死去 アニマルプリントやセクシーなドレスで世界的ブランドを確立

イタリア人ファッションデザイナーのロベルト・カヴァリ(Roberto Cavalli)が、イタリア・フィレンツェで死去した。享年83歳。1970年に自身の名を冠したブランドを立ち上げたカヴァリは、大胆なアニマルプリントやビジューをあしらったダメージジーンズ、セクシーなドレスなどグラマラスなデザインで知られ、世界的なファッション&ライフスタイルブランドを築き上げた。

芸術家の家系に誕生

1940年、祖父のジュゼッペ・ロッシ(Giuseppe Rossi)をはじめとする芸術家の家系に生まれたカヴァリは、フィレンツェの芸術学校で学んだ後、アーティスティックな才能をファッションの道で開花。70年にパリで初のプレタポルテ・コレクションを発表した。70年代初頭には、レザーへの革新的なプリント加工を開発し、特許を取得。72年には、南仏のリゾート地であるサントロペに初のショップ「リンボ(Limbo)」をオープンし、成功を収めた。そして73年、フィレンツェのピッティ宮殿サラ・ビアンカ(白の間)で開かれていた名高いファッションショーに招かれ、「ミッソーニ(MISSONI)」「クリツィア(KRIZIA)」「フェンディ(FENDI)」などと共にレザーアイテムを披露した。

82歳で6人目の子供のパパに

カヴァリは、64年に最初の妻となるシルヴァネッラ・ジャンノーニ(Silvanella Giannoni)と結婚した。その後、77年にドミニカ共和国で開催されたミス・ユニバースの審査員を務めた際に出会った出場者のエヴァ・マリア・デュリンガー(Eva Maria Dueringer)と80年に再婚。デュリンガーはカヴァリの主要なコラボレーターにもなり、94年にはブランドの共同クリエイティブ・ディレクターに就任した。彼にはジャンノーニとの間には2人、デュリンガーとの間には3人の子供がいる。そして、今年初めにはモデルのサンドラ・ニルソン=バーグマンとの間にも子供を授かり、82歳にして再び父となった。そんなカヴァリの人生は、彼の手掛けるコレクションの華やかさと力強いエネルギーを映し出すようだった。

全盛期にはビジネスを多角化

「ロベルト カヴァリ」はミラノ・ファッション・ウイークの常連であり、全盛期にはシグネチャーブランドに加え、コンテンポラリーライン「ジャスト カヴァリ(JUST CAVALLI)」、ブリッジラインの「カヴァリ クラス(CAVALLI CLASS)」、キッズライン、ホームライン、フレグランス、さらにクラブやカフェなどホスピタリティビジネスも展開。世界で約200店舗のネットワークと7億1000万ユーロ(約1164億円)以上の売上高を誇った。2007年には、「H&M」とのコラボコレクションを発表。セレブリティーとの親交も深く、シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)やグウィネス・パルトロウ(Gwyneth Paltrow)からマドンナ(Madonna)までが長年に渡りレッドカーペットで同ブランドを着用してきた。

現在はドバイの投資会社傘下に

ただ、00年代後半からブランドは困難な時期に直面し、売却を模索。15年にイタリアの投資会社クレシドラ(CLESSIDRA)が買収した後、大規模なリストラを含む再建を進めた。しかし、赤字経営が続き、財政難に陥っていた19年、債権者との和議を継続する間の経営を可能にするため、ミラノの裁判所に再建計画を提出するとともに、米子会社は清算のために米連邦破産法7条を申請。結果、ドバイの投資会社であるビジョン・インベストメント(VISION INVESTMENT)が買収した。現在、同社はドバイに「カヴァリ」ブランドの5つ星ホテルを建設中だ。

カヴァリ退任後、度々変わるデザイナー

クリエイティブ・ディレクターに関しては、徐々にファッション界から身を引いたカヴァリの後を継ぎ、15年に「エマニュエル ウンガロ(EMANUEL UNGARO)」や「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」のコレクションを率いたピーター・ドゥンダス(Peter Dundas)が就任。1970年代を連想させるロックテイストでセクシーなデザインを手掛けた。その後、2017年には「ジル サンダー(JIL SANDER)」や「ジー ゼニア(Z ZEGNA)」「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」などでキャリアを積んだポール・サリッジ(Paul Surridge)が就任。デイウエアやメンズウエアの強化に貢献した。

19年3月にサリッジが退任して以降はデザインチームでコレクションを手掛けてきたが、20年10月にファウスト・プリージ(Fausto Puglisi)がクリエイティブ面のトップに就任。2021-22年秋冬にデビューコレクションを披露した。22年からはプリージにとって初めてのクチュール・コレクションも制作。セレブ御用達ブランドとしての地位を取り戻すともに、アニマルプリントやセンシュアルで華やかなスタイルなど創業者の精神を生かしたデザインで、再起を図っている。

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