「無印良品」を運営する良品計画の2023年9月〜24年2月期連結業績は、売り上げ全体の過半を占める国内事業が値上げ効果もあって増収増益となり、前年同期に比べ大幅に上向いた。コロナ禍中に負債が膨らんだ英国子会社を清算し、欧州事業を新会社に引き継いだと先日発表しているが、「(20年に民事再生を申請した)米国、欧州ともに厳しい状況は脱することができた。今後は、ニューヨークやパリ、ロンドンに世界観を伝える旗艦店を出店していく」(堂前宣夫社長)考えという。
売上高に相当する営業収益は前年同期比12.9%増の3198億円、営業利益は同136.8%増の240億円、純利益は同114.4%増の157億円だった。国内事業は、会員向けセール「無印良品週間」の奏功と、23年1〜2月に実施した値上げが業績を押し上げ、既存店売り上げが同4.4%増で着地した。衣服・雑貨は12月〜2月にかけて冬物欠品で機会ロスを起こすも、スキンケア商品など生活雑貨がけん引した。
21年以降、国内では地方の食品スーパー隣接立地に1980平方メートル規模の大型店を積極的に出店している。2023年9月〜24年2月の出店数は34(純増数は24)。それら郊外大型店は「現状では面積に対して効率がよくない。家具などではなく、日常衣料、スキンケアなどの日用品といったくらしを支える商品を強化することで、来店頻度を高め効率を上げていく」。
海外事業は、国内に次ぐ柱である中国の既存店売り上げが同2.4%増。一昨年同期比では約10%減となり、想定を下回るペースではあるが「中国事業は(底を打って)再成長のフェーズに入った」。今後、東南アジアでも出店を強化する。コロナ禍以降苦戦が目立っていた欧米事業は、23年9月〜24年2月で2店を閉め、24年8月末までにさらに4店を閉め、55店となる予定。不採算点の閉鎖はこれで一旦の区切りという。「欧米は264平方メートル程度の小型店での出店も少なくなく、『無印良品』=文房具屋と思われていたケースもあったかもしれない。人材育成を強化し、旗艦店出店を目指す」。