今シーズンも、パリ&ミラノコレクションの取材記者と、国内マーケット担当者が座談会を開催。パリは、引き続くベーシックの再解釈をどうアップデートしたのか?ミラノブランドが憧れていそうな、3つのブランドとは?そしてランウエイトレンドは、日本のマーケットに波及するのか?を語り合った。(この記事は「WWDJAPAN」2024年4月15日号からの抜粋です)
記者プロフィール
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向千鶴編集統括兼サステナビリティ・ディレクター(以下、向):2024-25年秋冬シーズンのパリは、引き続きベーシックを再解釈。「耳で聞いたら、知っている。でも目で見たら、新しい」という提案は、まだパリの主流です。「アンダーカバー(UNDERCOVER)」を筆頭に、異素材をドッキングする手法が目立ちました。最近セミナーなどで「『シャツ』や『ジャケット』など、言葉はみんな知っているけれど、異素材のドッキングや新しいシルエットなどで工夫して、『持っていますか?』と聞かれたら、多くの人が『持っていません』と答えるアイテム」の必要性を訴えると、深く頷いてくれる方が多い。「アンダーカバー」が面白かったのは、縫製じゃなくて圧着、貼り付けて1枚の生地にしています。だからすごく薄くて、軽い。「異素材の組み合わせ」も聞き慣れすぎた言葉だけれど、トレンドを分析するときは「組み合わせ方」も考えるといいんじゃないか?って思います。製法まで踏み込むと、トレンドが広がりそうです。
藪野淳欧州通信員(以下、藪野):その流れで言うと、表紙にも掲載した「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」の「ウエアラブルは、退屈である必要はない」という言葉が心に響くシーズンでしたね。みんな見慣れたものだからこそ、普通に作っちゃったら退屈。でも、例えばスエットシャツならサイドにファスナーがあって開ければ首に巻き付けられるような「デザインとしては見たことがないもの」、だから「親近感があるのに、退屈じゃなくて新鮮」な洋服は、今季のパリを象徴していると思います。
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