毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年4月22日号からの抜粋です)
林:神宮前交差点に4月17日、商業施設「ハラカド」ができるというのがきっかけで、原宿特集を企画しました。コロナ禍だった3〜4年前は、空き店舗だらけで、今は海外からも地方からも人が訪れ、来街者はおそらく過去最高と話す地元の人も多いようです。裏通りまで人でにぎわっています。多面的で多様な街なので、原宿にまつわるいろいろな人に取材しました。
木村:私は東京出身ですが、正直あまり原宿に思い出がなく、「観光地」の印象が強かったです。原宿が盛り上がっていたのは過去の話ではと内心思っていました。でも今回の取材では、いろいろな人たちが原宿への憧れやこの街から得る刺激を語ってくれて、まだまだ面白いことに溢れている場なんだと再認識しました。一方、「ハラカド」の印象は……。
林:イマイチ?
木村:私のモヤっとした気持ちの原因をずばり言い当ててくれたのが増田セバスチャンさんでした。増田さんは「カルチャーは大人が用意した場所では生まれなくて、大人がカッコいいと思ってやっているところにカルチャーが生まれ、そこに若者が集まる」と。東急不動産はすごく頑張って場を作っているけれど、“自分たちにとって一番カッコいい”というより、余白を残しすぎていると感じてしまいました。林さんは何が印象に残りましたか?
夢を実現させようとする人たちのエネルギー
林:「ベルベルジン(BERBERJIN)」の藤原裕さんが、「原宿の古着店に東京出身の人はいない」と語っていて。実際に藤原さんは高知出身だし、「ベッド(BED)」の倉本未来さんも広島出身。ストリートから生まれたカルチャーって、ほとんど原宿が発信源だし、全国から憧れと野心を持った若い人が集まって、一旗揚げようとエネルギーを爆発させているのが原宿なんだな、と。ビームス(BEAMS)の設楽洋社長こそ新宿育ちだけれど、地方出身者にとっては“ジャパニーズドリーム”を実現できる街なのだと思いました。
木村:そういう熱い思いで原宿に出てくる人もいる一方で、東京出身の「カンナビス(CANNABIS)」の早坂向日葵さん(31)は、結構ドライ。コミュニティーの面白さを探ろうとしても「難しいっすね」と濁されてしまいました。でも、それは早坂さんがただかっこいいと思うことを表現しているだけだから。言語化できなくていいし、カルチャーってそういうものなんだろうなと思いました。