パリ発「ジェミオ(GEMMYO)」は2011年に誕生したジュエリーブランドだ。創業者であるポリーヌ・レニョーが、シャリフ・デブスとの婚約をきっかけに、パリ市内のジュエラーで婚約指輪を探したときのネガティブな体験をもとに設立。デジタルを駆使した受注生産で、ブライダル中心にメード・イン・フランスにこだわったジュエリーを適正価格で届けている。温かみのある接客もブランドにとって重要なポイントで、現在は自社EC以外に、フランス国内で6店舗、ブリュッセルとジュネーブに1店舗と計8つの直営店を運営。日本では,ホテルオークラ東京で毎週金曜日の午後と土曜日にアポイントメント制のブティックをオープンしている。来日したレニョー創業者に話を聞いた。
WWD:ブランドを立ち上げたきっかけと目的は?
ポリーヌ・レニョー=ジェミオ創業者(以下、レニョー):婚約者のシャリフとヴァンドーム広場のジュエラーに婚約指輪を探しに行った際、ダイヤモンドしか選択肢がないのに驚いたし、温かみに欠ける接客にがっかりした。だから、ダイヤモンド以外にも選択肢があるモダンなジュエリーブランドを作ろうと思った。サファイアやエメラルド、ルビーなど10種類以上の色石を選べるだけでなく、地金も選べ、パーソナルなカスタマイズ体験を提供。ジュエリーはメード・イン・フランスで全て受注生産だ。
WWD:ブランドのコンセプトは?
レニョー:モダンな次世代のためのジュエリーを適正価格で提供するということ。石や地金の選択肢が多く、受注後の製造過程を丁寧に顧客に伝えて、ECにおけるショッピング体験を温かみのある快適で特別なものにしている。だから、売り上げの割合は半分がEC。デジタルを駆使すると同時に、仕入れから小売りまで自社で行っているので、通常のジュエラーと比べると3~5割程度、手に取りやすい価格を実現している。金額に見合った価値を求める消費者に好評で売り上げも好調だ。
ブランド名は革新的な女性だった天皇の元明天皇から
WWD:ブランド名はどこから?
レニョー:「ジェミオ」のジェム(Gem)とは石のことで、ダイヤモンド以外のカラフルな宝石を知ってもらいたいという思いから。また、日本在住の義理の兄から偶然、女性だがパイオニア精神に満ちていた元明天皇の話を聞いた。ブランドにとって、革新性も大切な要素で、元明は“ゲンミョウ(Genmyo)”とも読めることからジェムと組み合わせて「ジェミオ」という名前にした。
WWD:デザインと製造はどのように行うか?こだわりは?
レニョー:デザインも製造もフランス国内で行う。フランスの職人が持つ手仕事の素晴らしさを知ってもらいたい。私がデザインチームを率いており、コンセプトからデザイン、製造を経てコレクション完成までに9カ月かかる。デザインのこだわりは、ジェンダーレス、快適な着け心地なので、日々着用できるということ。自然や建築などさまざまなインスピレーション源の背後にあるストーリーを大切にしている。
WWD:売れ筋アイテムと中心価格帯は?
レニョー:ブライダルでは、“レフコス”リングが売れ筋。石はグリーンサファイアやチョコレートダイヤモンドが人気で、石によるが中心価格帯は50万円程度。ジェンダーレスな“エンタイユ”コレクションも好調で、10万〜20万円程度。リングは、重ね着けして楽しめるのが特徴だ。
品質が高く人と違ったジュエリーをスマートに届ける
WWD:ターゲットは?
レニョー:国際的で都会的、経済的に自立した25~50代の女性が中心。品質が高く、人とは違ったものをスマートな方法で購入したいと思う女性。
WWD:ブランドの魅力をどのように消費者に伝えているか?
レニョー:SNSやウェブサイト。画像やビデオなど豊富なコンテンツを用意して発信するほか、インフルエンサーとも協業する。
WWD:日本に進出したきっかけと目的は?
レニョー:日本は美しい国で、市場はとても大きい。「ジェミオ」のデリケートなコンセプトは日本人女性に合うと思う。新たなジュエリーの選択肢としてアピールしたい。
WWD:日本での反応は?
レニョー:とても良い。インスタグラムを見て予約するカップルや親子が多い。
WWD:今後どのようにブランドを発展させていく?
レニョー:まずは、フランス国内でブランドを確立し、国際的に販路を拡大したい。年内には、スイスのチューリッヒと東京・表参道に路面店をオープンする。