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特集 原宿・新時代 第16回 / 全17回

原宿はいかにして「スニーカーの街」になったのか

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PROFILE: 本明秀文/まんま社長

本明秀文/まんま社長
PROFILE: (ほんみょう・ひでふみ)日本未発売の商品を販売し、原宿を代表するスニーカーショップ「チャプター」、「ナイキ」などとの大型コラボを展開する世界的なスニーカーショップ「アトモス」を運営していたテクストトレーディングカンパニーの創業者

「アトモス」の創業者、本明秀文さんは1997年、裏原宿ブームで盛り上がる原宿の一角に並行輸入のスニーカーショップ「チャプター」を開業し、一代で約400億円企業に育て上げた。現在は、新宿で人気おにぎり屋の「まんま」を運営しながら、原宿にもその姉妹店である「カフェまんま」を構える。原宿で約27年商売を続け、住民でもあるため、原宿の朝昼夜の顔を知っている。そんな本明さんが感じる現在の原宿は「資本主義に毒された街」だ。(この記事は「WWDJAPAN」2024年4月22日号からの抜粋です)

原宿をスニーカーの街へ
現場主義を貫き27年

本明秀文/まんま社長

「チャプター」が原宿にオープンした頃、スニーカーの本場は上野だった。「当時、有力店のほとんどが上野に店を構えていた。八王子に実家があった僕は、中央線上の高円寺が出店候補だったが、たまたま原宿で立ち寄った妻の旧姓と同じ“森山不動産”に縁を感じ、2.7坪の店をキャットストリートのジャンクヤードに開いた。家賃は20万円。坪換算すると高く感じるが、商売を始める身としては手が届く価格。今は、そんな駆け出しの若者が商売を始められるような場所が原宿にはない。原宿は27年間変わらず、“路面”の街であり続けている。それは店から店へ、ブラブラ練り歩いている人が多いからだと理解しているが、当然ファッションビルの上にいけばいくほど、商売は厳しくなる。だからファッションビルの上層フロアは、飲食店しか生き残れない。一方、路面店はラグジュアリーブランドに占拠され、大手らしく、しっかりと広告を打つ。結果的にごく平均的な人とインバウンドが集まる観光地と化し、面白いカルチャーが生まれにくくなってしまった」。

アトモス時代は、接客に力を入れなくてもレアスニーカーが売れたため、接客指導には無頓着だったというが、2010年代からは、英語が話せるスタッフを積極的に雇い、インバウンドを徹底カバーするスタイルにシフトした。「商売は環境の変化に常に対応していかなければいけない。だけど僕には、原宿の多くの店が20年前と同じことをやっているように見える。例えば、インバウンドは朝の行動開始が早い。8時過ぎには多くのインバウンドが原宿にいる。だけど、開いている店はスタバかマックかカフェまんまくらいだ。だからうちの店は、朝食の売り上げがものすごく高い」。確かに、原宿の朝は遅い。竹下通りのダイソー原宿店は、その近辺ではとりわけ早い9時半に開店し、開店直後からびっくりするほど混んでいる。行き場に困っている客が多いのも納得できる。「おそらくほとんどの経営者が夜飲み歩き、朝は起きてすらいないのでは?僕らが90年代に商売を始めた頃は、日本人をターゲットにしていたから午後からしか客が来なかっただけ」。

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