ファッションレボリューションジャパンは東京・表参道のスパイラルガーデンで、ファッション産業の透明性について考える展示「Who made my clothes?」を開催中だ。会期は28日まで。
会場内では、スウェーデン企業のトラストレースが発行したトレーサビリティーを実現するための手順を解説した資料をベースに、透明性への理解を深めるための15の要点を解説した文章を掲示した。要点ごとに関連する書籍も並べ、図書館のような空間にした。
バングラディッシュの縫製工場が入居するビルが崩壊し多くの死傷者を出した「ラナ・プラザの悲劇」を機に発足したファッションレボリューションの活動は、今年で10年目を迎える。ファッションレボリューションジャパンのプロデューサーで消費者への啓発活動に取り組む鎌田安里紗は、「これまでは間口を広げるためにサステナビリティをより簡単に取り組めるものとして発信する傾向があった。しかし、実際にトレーサビリティーを確保し透明性を実現するのは難しい。難しいことを、難しいまま真正面から伝え、消費者にもきちんと理解を深めてもらうことで、結果的に取り組んでいる企業の応援につながることを期待したい」と話した。
初日にトークショー開催
トレーサビリティーに取り組むヘラルボニーが課題とやりがいを語る
初日の24日には、トラストレースのサルバナン・パリスタン共同創業者やヘラルボニーで商品開発を担当する福井隆史をゲストに迎えたトークショーを開催した。サルバナン共同創業者はアシックスなど日本での協業事例を踏まえ、特にアメリカで法規制が厳しくなっている綿花のバリューチェーンの追跡の重要性が高まっていることなど最新の動向について語った。またトレーサビリティーを実現する必要性として、サプライチェーンの強靭性を高め、リスクマネージメントができること、生産背景の情報を求めている消費者とのエンゲージメントが高められること、すでにトレーサビリティー情報がないと商品の販売ができない地域も出てきていることなどを挙げた。
ヘラルボニーは、約半年前から自社商品のサプライチェーンの見直しをはじめ、完全に追跡可能なモノづくりの体制作りを目指して取り組んでいる。福井担当は、「小ロットの生産しかできないなか、メーカーに協力を仰ぎきれないことが難しさの1つ。実際に工場に足を運んで信頼関係を築くことがスタートだと学んだ。課題はたくさんあるが、結果的に背景を知ることで、誇りを持って提案できる自信につながると実感している」と話した。5月末には、新たなサプライチェーンで製造した商品の販売を目指すという。
■「Who made my clothes?」
会期:4月23〜28日
時間:11:00〜20:00
※最終日のみ18:00まで
場所:スパイラルガーデン
住所:東京都港区南青山5-6−23 1階
入場料:無料