銀座の百貨店が好調だ。2023年度の売上高は松屋銀座本店(24年2月期)が前期比35.5%増の1018億円を達成し、三越銀座店(24年3月期)も同33.0%増の1027億円になる見通しだ。両店とも過去最高売上高で、初めて1000億円の大台に乗る。インバウンド(訪日客)の旺盛な消費を追い風にするのは他の大手百貨店と同じだが、銀座は突出している。(この記事は「WWDJAPAN」2024年4月29日&5月6日合併号からの抜粋です)
松屋銀座本店ではラグジュアリーブランドの入店待ちの行列が当たり前の光景になっている。特に中央通りに面した「ルイ・ヴィトン」はたくさんの訪日客が列を作り、買い物を終えるとオレンジ色の大きな紙袋を持って出てくる。
松屋で長く営業部門を担当し、現在は経営企画室長の横関直樹・取締役常務執行役員は「海外のお客さまの消費意欲はかつてないほどだ。雨が降れば客足は鈍るのが小売業の常識だが、海外のお客さまの場合、テーマパークや街歩きに行くのをやめて、百貨店でのショッピングを楽しんでくださる」と話す。
松屋、三越の高効率が際立つ
百貨店業界には“ニッパチ”という言葉がある。衣料品の端境期である2月と8月は売れ行きが鈍るという意味で、百貨店は集客に苦労してきた。しかし現在は2月に春節(中国の旧正月。年によって時期が違う)、8月はバケーションシーズンにあたるため、訪日客の消費はピークを迎える。
コロナが昨年5月に5類に移行し、国内客の消費に加えて訪日客が急増したため、松屋銀座本店の売上高は尻上がりに伸びていった。24年2月期(23年度)の売上高は前期比35.5%増の1018億円。免税売上高の割合は33%だった。これまでの過去最高だった1991年度の863億円を32年ぶりに上回った。
すぐ近くにある三越銀座店の23年度の売上高は、正式には5月14日の決算で発表される。昨年11月に発表した予測は同33.0%増の1027億円としていた。4月15日に公表した月次売上高の23年度計が35.6%増なので、達成は確実とみられる。
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