ファッション

日本デニムの魅力を深掘り 中堅&新ブランド7選【2024年春夏トレンド】

INDEX
  • 「クロ」 黒が持つ繊細さを岡山の職人技で表現
  • 「トゥ エ モン トレゾア」 ボディーに寄り添うプラウドなかたち
  • 「タナカ」 NY発日本製 100年後につながるデニム
  • 「リヴィントーン」 ヒールと合わせたいドレスアップデニム
  • 「ボニーウーブン」 ファッションプロの目利きを掛け算
  • 「ピース」 モードとセンシュアルが交差
  • 「クジョー」 天然染めによる21色のカラージーンズ

日本発のデニムブランドに新たな潮流が生まれています。ファッションデザイナーやディレクター、ビンテージ通などがデザインを手掛けるデニムは、従来のデニムのイメージを書き換えるかのよう。中でも2010年以降に立ち上がったエマージングブランドは新鮮なアプローチで注目を浴びています。今回は、話題性の高い国内7ブランドを紹介します。

「クロ」
黒が持つ繊細さを岡山の職人技で表現

八橋佑輔デザイナーが2010年に東京で立ち上げた「クロ(KURO)」は、日本有数のデニム産地である岡山で育まれた職人技が強みのブランドです。名前の由来は、日本人の瞳や髪色である“黒”。“黒”が持つ繊細さをコンセプトに据え、職人技術を生かしたこだわりのモノづくりが特徴で、ジャパンデニムの新たな魅力は海外からも高い評価を得ています。

24年春夏コレクションは、1980年代後半~90年代にイギリス・マンチェスターで盛り上がった反抗的なカルチャーと、「クロ」のミニマルな美学を融合。想定外や不調和を取り入れたディテールが、着こなしに反骨的なムードを宿します。昨年11月には、渋谷・富ヶ谷の閑静な住宅街に「クロ」ディレクションによる隠れ家的フラッグストア「ザ ブルー ストア(THE BLUE STORE)」もオープンしました。

「トゥ エ モン トレゾア」
ボディーに寄り添うプラウドなかたち

建築や家具、工芸、写真など、さまざまな文化を横断して表現活動を行う「トゥ エ モン トレゾア(TU ES MON TRESOR)」は、佐原愛美デザイナーが2010年にローンチしました。フランス語の“あなたは私の宝物”という意味にちなんで、アイテムにはエメラルドやアメジスト、ルビー、ダイヤモンドなど宝石の名前がつけられており、感性をときめかせてくれます。

コレクションは、ボディーに自然と寄り添うシルエットが伸びやかな着心地で、脚のラインをきれいに見せてくれると、ファッション賢者からも評判です。布地の表面に起毛加工を施すことによって、なめらかな肌触りを実現。表情を帯びた素材とシルエットが、心地よさとエレガントなムードを宿します。

「タナカ」
NY発日本製 100年後につながるデニム

「ヨウジヤマモト(YOJI YAMAMOTO)」や「ユニクロ(UNIQLO)」で経験を積んだタナカサヨリ・デザイナーと、クボシタアキラ・クリエイティブ・ディレクターのデュオによるブランド「タナカ(TANAKA)」は、デニムの可能性を押し広げるアイテムをニューヨークから送り出しています。

コンセプトは、“これまでの100年とこれからの100年を紡ぐ衣服。時代、性別を超えて永く愛される衣服”。アート性やビンテージの要素を宿したデザインに、ジャパン・メードならではの手仕事感が漂います。素材は、カイハラ製のプレミアムセルビッジデニムを使用。トラウザーのようにはけるジーンズは、シグネチャーアイテムです。昨年5月には、初のコンセプトストア「タナカ アオヤマ(TANAKA AOYAMA)」を東京・南青山にオープンしました。

「リヴィントーン」
ヒールと合わせたいドレスアップデニム

「リヴィントーン(LIVINGTONE)」は“ドレスとしてのデニムトラウザー”をコンセプトに、バイヤーやディレクターの経歴を持つ榎本実穂ディレクターが、2021-22年秋冬シーズンに立ち上げました。フレアシルエットや深い折り返し、スラッシュ加工など、アイキャッチーなパンツがそろいます。トラウザーのパターンをジーンズに取り入れることで、美脚シルエットを実現。デニムが苦手な人でもドレッシーにはきこなせるのが魅力です。ブランド名は、ロンドンのリヴィントン通りの名前をアレンジしたそう。

カジュアルなジーンズがタイムレスなデニムルックに仕上がるのは、作り手のビンテージ愛が深いから。ルックブックでは、榎本ディレクターの私物ビンテージアイテムとのミックススタイルも披露されています。

「ボニーウーブン」
ファッションプロの目利きを掛け算

最近は、異業種で養った知恵やセンスを持ち寄ってブランドを立ち上げる試みも増えてきました。ビンテージに強みを持つショップ「メゾンナンバーエイト(MAISON No.8)」の松本香織ディレクターと、フリーランスPR・セールスコーディネーターの藤林美紀氏が2022-23年秋冬にスタートしたのが、「ボニーウーブン(BONNY WOVEN)」です。アドバイザーに、古着の名店「ベルベルジン(BERBERJIN)」の目利き、藤原裕氏を迎えています。

コンセプトは“人生を共に歩み、長く愛される、マイビンテージとなる銘品”。ビンテージから着想を得つつ、巧みにモダナイズしたデザインが目を引きます。アイコンは、裾をグラデーションにブリーチしたジーンズ。センタープレスを利かせたスラックス風のデザインや、ホワイトデニムジャケットなど、大人が取り入れやすそうな、きれいめでクリーンなコレクションをラインアップします。

「ピース」
モードとセンシュアルが交差

セレクトショップ「ガリャルダガランテ(GALLARDAGALANTE)」から2023年秋に誕生した「ピース(PEAS)」は、“モードでセンシュアルなデニム”という切り口に意外性あり。リメイクデニムはキーピースの一つで、ワークパンツをリモデルしたような“強さ”を宿したデザインも持ち味です。

ダイナミックな解体・再構成やカットオフ、クラッシュド加工などが、唯一無二な雰囲気を引き出しています。1990年代をイメージしたバギータイプのクラッシュデニムは、大胆でドラマチックです。ジーンズの見た目にタフさがあるので、トップスはシンプルでコンパクトなシルエットを合わせて色気をミックス。パワフルで自由な女性を思わせる、遊び心溢れるアイテムが人気です。

「クジョー」
天然染めによる21色のカラージーンズ

2023年秋に設立したばかりの「クジョー(9-JOUR.)」は、天然染料で染め上げたカラージーンズをファーストコレクションで発表しました。注文に応じて1着ずつ丁寧に染める完全受注生産で、ブランド名は京都の九条に由来しています。

土に還る生分解性素材を使用し、染色方法は、日本古来の色調を新たに開発した独自技術“新万葉染め”を採用。オリジナルカラー21色をそろえます。天然染めならではの生きた発色が魅力で、はきこんでいくうちになじんいき、色あせる過程も経年変化として楽しめます。東京・表参道のサロンで、全色・全サイズを試着体験できます。

スタンスや持ち味の異なる7ブランドですが、“デニム大国・日本”に根差したモノづくりは共通した魅力。注目ブランドの豊富なバリエーションからお気に入りのデニムを見つけて、着こなしのレパートリーを広げてみては?

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