「一粒万倍日」に百貨店で財布の売り上げが伸長するなど、“スピリチュアル消費”が主にファッションの世界で注目されている。今回は、西洋占星術研究家の登石麻恭子氏の話をもとに、美容シーンにおける2024年下半期の「開運コスメ」を紹介。美容分野とスピリチュアル消費の親和性についても考えたい。
どうせ買うなら「縁起のよいもの」という選択肢
暦の「一粒万倍日」が「天赦日」と重なる吉日に、百貨店で財布の売り上げが増加し、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ロエベ(LOEWE)」などのラグジュアリーブランドが、吉日に合わせて新作の財布を発表すると聞いて、驚いてしまった。と同時に、ストンと腑に落ちる面もあった。
私たちが何かを購入する場合、さまざまな理由がある。「生活に必要なもの」「純粋に欲しいもの」、その中の1つに、「どうせ買うなら縁起のよいものを」という心理が働くのは理解できる。円安や物価高が加速し、先行きに不安を抱えがちな昨今、時代の気分にもフィットしているのではないだろうか。
美容に関連する「縁起のよいもの」は、いい意味での「お手軽さ」が魅力だ。価格的に手に取りやすく、消耗品であるが故の気安さもある。さらに、メイクアイテムの場合「カラー」や「モチーフ」が豊富なため、占いや暦との親和性も高い。例えば「今週のラッキーカラーはピンク」と言われたら、「じゃあ、今日のリップはピンクにしてみるか」という風に、生活の中に気軽に取り入れやすい。
西洋占星術における2024年下半期のキーワードは?
それでは、美容シーンにおける24年下半期の「開運コスメ」とはどんなものだろう?西洋占星術研究家の登石麻恭子氏によると、24年下半期は「双子座的な要素」に注目が集まるという。
「5月26日に、拡大と成長を象徴する木星が、双子座に移動します。世の中のムードがより軽やかになり、人とのコミュニケーションも活性化するでしょう。好奇心の赴くままに、気になる情報を収集するのも開運行動といえます」。
西洋占星術において1年間の運気を読む場合、「木星」の動きに注目することが多い。24年下半期に木星が通過する「双子座」は、情報やコミュニケーション、フットワークの軽い行動などを象徴し、好奇心旺盛な星座とされている。木星通過中は、このような双子座的要素が「拡大」し、世の中の空気にも影響するという。
「美容においては、本物志向の商品というよりも、身近な場所に売っていて、手軽に試せる『プチプラのコスメ』が注目されそうです。ピンときたものを気軽に試してみることが、時代の空気に合っているといえるでしょう」。双子座は情報を司るという意味で、「気になるプチプラのコスメを試し、その情報を友人やSNSでシェアすること」も開運行動といえそうだ。
24年下半期に試したい、プチプラコスメ3選
国産のドラバラコスメに加えて韓国コスメの人気もあり、すでに広く浸透しているプチプラコスメ。今回は「双子座的な要素」に注目し、下半期に幸運をもたらしてくれそうな新商品を紹介する。
友人とシェアしたい韓国コスメの限定リップマスクキット
「ラネージュ(LANEIGE)」は5月28日に、人気アイテム“リップスリーピングマスク”の限定キットを発売する。定番の“ベリー”“スイートキャンディ”に加え、限定の“ピーチアイスティー”など4種類のフレーバーをセット。“マンゴー”のイエローは、双子座のラッキーカラーでもある。日替わりで楽しむもよし、友達とシェアするもよし。どのフレーバーが好みか、情報をシェアするのも開運アクションだ。
「抜け感」のある肌印象をかなえる注目アイテム
「キャンメイク(CANMAKE)」から5月下旬に登場するのは、双子座の特徴である軽やかさや抜け感を演出するアイテムだ。“イルミネイティングフィニッシュパウダー ~Abloom~ 01”は、双子座のラッキーカラーである淡いイエローやブルーなど5色のパステルカラーで構成されたフェイスパウダー。“むにゅっとハイライター 04”は、同じく双子座のラッキーカラーである淡いブルーの偏光パールを配合したハイライト。双方ともに、透明感あふれる艶肌をかなえてくれる。
フットワーク軽く外出したくなる“ペディキュア専用ネイル”
夏の外出を後押ししてくれそうなのが、コーセーの「ネイルホリック(NAIL HOLIC)」から6月16日に登場するフット専用のネイルカラーだ。5色いずれもミルキーなパステルカラーにパールの質感を組み合わせ、サテンのような艶のある仕上がりを実現。フットネイルのために開発した厚みのあるベース処方で、足の爪の凹凸を滑らかに整える効果もある。サンダルとのコーディネートも楽しめそうだ。
イエベ・ブルベを越える選択肢や
ギフト需要に開運カラーが有効な理由
前述の「何かを購入する理由」において、化粧品の場合は特に肌に合うことが重視される。メイク品を選ぶ際に“イエベ・ブルベ”が1つの指標となっているのも、このような理由からだろう。
数あるカラーの中で「肌トーンに合ったものを選びたい」という気持ちは、とても共感できる。その一方で、「今の時代、好きな色を自由に楽しんでいいのでは……?」というのも正直な気持ちだったりするのだ。
なぜなら、ひと昔前に比べてパール剤や色剤が各段に進化しているから。「どう見ても肌に合わないかも?」という色も、驚くほどしっくり肌になじんでしまう。無難なカラーを選びがちな人にとって開運カラーは、新しい色との出合いを後押しするきっかけになるはずだ。
もう1つ、誰かにギフトを選ぶ際も開運カラーはありがたい存在である。「あなたの幸運を願って」という理由づけがあると、選ぶ方も迷路に入り込まず、受け取る方も多少好みと違ったとしても悪い気はしないのではないだろうか。
個人的には、メーカーや店舗にとっても開運カラーはプロモーション手段の1つになり得ると思う。新商品を開発しなくても、カラー豊富なメイク商品の場合、既存品のリプロモートとして展開できる点がメリットだ。
占い的なものが苦手な人もいるだろうし、スピリチュアルに傾倒し過ぎて生活に支障が出るようでは本末転倒。しかし、メイクの重要な効果である「気分を上げる」という点において、さらに美容行動やプロモの面でも開運カラーはポジティブな要素が多いと感じている。