パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるイスラエルに対し、世界各国の大学で学生らが抗議活動を行っている。米国では、ハーバード大学、イェール大学、コロンビア大学、ニューヨーク市立大学、マサチューセッツ工科大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校およびバークレー校、テキサス大学オースティン校など、4月中旬ごろから多数の大学でデモ行進やキャンパス内での座り込み、テントを張っての野営などが行われているが、これまでに2200人以上が警察に拘束される事態となっている。
欧米の大学では、大学が基金を設立して多額の資金を運用し、それを大学運営や研究費などに充てていることが多い。学生や一部の教授陣らは、大学基金が軍需産業やガザへの攻撃を支援している企業に投資したり、そうした企業から資金援助を受けたりすることは「ガザでの虐殺に加担していることと同義だ」として、大学側に資金の引き揚げや投資先の変更などを求めている。
こうしたデモ活動が行われているのは大規模な大学だけではない。ファッションの名門校であるパーソンズ美術大学を抱えるニュースクール大学や、ニューヨーク州立ファッション工科大学(以下、FIT)でも学生らが抗議していたが、大学側の要請を受けて警察が介入。5月3日にはニュースクール大学で45人、7日にはFITで46人が逮捕されたものの、9日にはほぼ全員が釈放された。しかし、停学処分となったり、裁判所への出頭を求められたりする場合もあるという。
ニュースクール大学のドナ・シャララ(Donna Shalala)暫定学長は、「当校の教育に関する使命を妨げない限り、私たちは学生の権利である言論の自由について寛容に許容してきた。学生、教授陣、スタッフが、教室やオフィス、図書館、カフェテリアなど大学施設に問題なくアクセスできるのであれば、野営することも学生の権利に含まれると考えて認めてきた。しかし、デモの参加者らはおよそ600人が居住する学生寮の入口を塞ぎ、何度か申し入れた話し合いにも応じなかった。このため、非常に残念ではあるが、ニューヨーク市警に介入を要請せざるを得なかった」と述べた。
一方、学生側を代表するグループは、抗議活動は平和的に行っており、建物へのアクセスを妨げたり、非常口を塞いだりしていなかったと主張。「ニュースクール大学は、警察の介入や学生の拘束を容認したことにより、社会正義や反軍国主義を掲げる教育機関であるという誇りや伝統を著しく損なった。私たちは(大学基金の)投資先の変更や資金の引き揚げ、ひいてはパレスチナの自由および虐殺中止を訴えるため、今後も各地の大学で行われている抗議活動に連帯する」と声明を発表した。
なお、警察の介入に伴い、同大学では休講もしくはオンラインで授業を実施していたが、11日から通常どおり授業を行っているようだ。
また、現地メディアの報道によれば、こうした抗議活動に賛同していないにもかかわらず、野営などに加わって暴力的な行為に及ぶケースも散見されており、逮捕者の中には学生でない人物も含まれているという。