企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回は毎年恒例となった同氏算出の世界アパレル専門店売上高ランキングのハイライトと10年前との比較を紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2024年5月13日号からの抜粋です)
2023年度は1位から10位まで順位は前年と変わらず。一方、円安が進んだので、日本円換算の各社の売上高は大きくなり、1兆円プレーヤーが増えました。円安だと日本企業が不利になりますが、ファーストリテイリング(FAST RETAILING)はグローバル企業となり、今や海外売上高の方が大きいので、円安が進めば、為替差益分が上乗せされることになります。国内中心のしまむらは、円安にかかわらず健闘した、という感じでしょうか。
私がランキングを作り始めた2008年度から変わらず首位のインディテックス「ザラ(ZARA)」は、安定の増収増益です。オンラインとオフラインの統合(OMO)と、近隣国生産でマーケットの変化に合わせた需要との連動生産ができているので、在庫回転率を高めながら、全ブランド、全地域、オンライン、オフライン全て増収という無敵状態です。さらに物流インフラに投資しているので、今後もさらに柔軟性が生まれ、強みを発揮すると思われます。
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