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“メタバーキン”、米裁判所が一転してストックホルムの展覧会での展示を許可

エルメス(HERMES)」の“バーキン(Birkin)”を模して制作したNFTアート“メタバーキン(MetaBirkins)”の商標権侵害をめぐる裁判に敗訴した制作者のメイソン・ロスチャイルド(Mason Rothschild)が、スウェーデンの展覧会に“メタバーキン”を展示するために米ニューヨークの裁判所に許可を求めていた件について、裁判所は一度却下した判断を覆し、一定の条件の下、展示を認める判決を下した。

ロスチャイルドは、「エルメス」の“メタバーキン”と名付けたNFTアートをデジタル上で100個制作し、NFTマーケットプレイスの「オープンシー(OpenSea)」上で販売した。これに対して「エルメス」は2021年11月、商標権侵害など理由にロスチャイルドを提訴し、23年2月には9人の陪審員が「エルメス」の主張を認め、ロスチャイルドに対して“メタバーキン”の使用差止めと計13万3000ドル(約2060万円)の損害賠償を命じた。ロスチャイルドはこれを不服として同6月に控訴し、同11月には控訴趣意書を提出した。

その後、ロスチャイルドはスウェーデン・ストックホルムにあるスプリットミュージアム(SPRITMUSEUM)で開催する展覧会で“メタバーキン”を展示する場合、23年に出された決定によりそれが妨げられるかどうかの明確化を求め、1月に申立てを行っていた。裁判所は、“メタバーキン”を展示することで「エルメス」が承認、またはスポンサーであるかのような誤解を与える可能性があるとして、展示を禁止する決定を出した。

これに対してロスチャイルドは、裁判所に再考の申立てを行い、このほど裁判所は禁止の決定を覆し、「“メタバーキン”は『エルメス』と関連があると大衆に誤解を与えるように意図的にデザインされたものであることを、陪審員が全員一致で認めた」という趣旨の注意書きを来館者の目に入るように提示することを条件に展示を認めた。

3月初めには、展覧会の企画に協力した現代美術評論家のブレイク・ゴプニック(Blake Gopnik)とスプリットミュージアムのキュレーター、ミア・サンドバーグ(Mia Sundberg)はメディアの取材に対して、10月に開催される「アンディ・ウォーホル:商業の肖像」展の中で“メタバーキン”をコンピュータースクリーンに映し出すことを希望していると話した。その際に、「われわれはさらなる法律問題を引き起こしたくはない。しかし、ストックホルムの展覧会にコンピューターを設置し、すでに誰もが見ることのできるネット上にある画像を公開することを、アメリカの判事やロスチャイルド自身が禁じることができるのかという点は疑問が残る」とコメントしていた。

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