昨秋開業した大型商業施設「麻布台ヒルズ」では今春、施設を横断する桜麻通りに面するガーデンプラザでラグジュアリーブランドの路面店オープンが相次いだ。8月下旬オープン予定の「ブルガリ(BVLGARI)」、そして秋以降を計画している「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」を除くと、一通りの旗艦店が出そろい、足元に広がる港区マーケットにアプローチしている。各店は界隈の富裕層やオフィスワーカー、次世代顧客とのコミュニティーづくりに挑むべく、麻布台ヒルズの旗艦店では高額商品を取りそろえたり、VIP向けのサロンを構えたり、毎週の定休日にイベントを計画したりしている。その傾向をまとめた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年5月13日号からの抜粋です)
ラグジュアリーブランドも
「麻布台ヒルズは大きなチャレンジ」
港区住民の平均所得は、東京23区平均の2倍、全国平均の3倍に相当する1200万円以上といわれる。このため麻布台ヒルズは計画当初から、同じ森ビルが運営する六本木ヒルズ以上と目されるほど、富裕層を強く意識した街づくりを進めてきた。エリア内の「アマンレジデンス 東京」や「麻布台ヒルズ レジデンス」は、上層階の分譲なら数百億円といわれる超高級レジデンスとして誕生したが、分譲・賃貸は共に順調な様子。レジデンスは現在も建築が進んでおり、界隈の富裕層はまだまだ増えそうだ。
一方、それでも麻布台は、隣接する六本木や、少し離れた銀座と比べれば新しく、トラフィックは限定的だ。このため麻布台ヒルズは、レジデンスの住民を筆頭に界隈の人々とコミュニティーを築いて関係性を深めることで、購買力の大きな足元商圏を取りこぼさないことを目指し、こうしたビジョンを多くのテナントと共有している。今春ガーデンプラザに旗艦店を構えたラグジュアリーブランドからは、麻布台ヒルズの開業前から「決して大きくない街の、『超』がつくほどの人もいるはずの新たな富裕層に支持され続けるか?は、われわれにとっても大きなチャレンジ」という、気合いと不安が入り交じった声が聞こえていた。結果、各ブランドの旗艦店は、銀座や表参道にも負けない、もしくはそれ以上の品ぞろえやサービスを提供する。
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