昨年で開業50周年を迎えた渋谷パルコが絶好調だ。2024年2月期の商品取扱高は前年比58.3%増の358億円となり、劇場や映画館を除くと営業面積は推計1.5万㎡ほどの小ぶりな館でありながら、全国に17館あるパルコの中で初の1番館になった。渋谷パルコは2019年11月に建て替えリニューアルオープン。当初は取扱高200億円を掲げていたものの、20年3月にはコロナ禍が直撃。水面下で細かくテナントの入れ替えたり、中国人バイヤーのライブコマース支援などきめ細かな施策を打っていた。直近の4月も前年同期比44.2%増という好調を維持しており、400億円台の大台に乗るのはほぼ確実だ。好調の要因はなにか? 3月に店長に就任したばかりの平松有吾・渋谷パルコ店長に聞いた。
PROFILE: 平松有吾/渋谷パルコ店長
渋谷パルコが好調なワケ
WWD:好調な要因は?やはりインバウンド?
平松有吾・渋谷パルコ店長(以下、平松):好調の最大の要因は「唯一無二」を掲げ、ファッション、カルチャー、アート、フードを縦横無尽にミックスしたMDだ。全国のみならず、全世界から感度の高いお客さまを集め、購買に繋げられている。24年2月期のインバウンド比率は、32.1%で、もちろん底上げにはつながっているが、全館では58.3%増なので、インバウンド以外の伸びの方が大きい。
WWD:インバウンドは、コロナ禍前とどう変わった?
平松:2016年の建て替え前も「バオ バオ イッセイ ミヤケ(BAO BAO ISSEY MIYAKE)」など海外で知名度の高い一部の人気ブランドに目当てに来る訪日客は少なくなかったが、目的のブランドの店舗にのみ来て買って帰るという行動が大半だった。今は例えば6階の「ニンテンドー トウキョウ」に来て、5階の「オガワ グランド ロッジ」、2階の「トーガ」、1階の「グッチ」を回って買い物をする、といった訪日客も多い。「訪日客」の層も目的も行動も明らかに変わった。
訪日客に人気のブランドは?
WWD:訪日客に売れているブランドは?
平松:6階の「ニンテンドー トウキョウ」「ポケモンセンター」を双璧に、5階のアウトドア・テント系の「オガワ」「ノルディスク」のギアやアパレル、3階の「ヌビアン」、2階の「トーガ」「カラー」「ジョンローレンスサリバン(以下、JLS)」、1階の「グッチ」「ヒューマンメイド」「ポーターエクスチェンジ」などだ。特に手応えを感じているのは、日本発のブランドやデザイナーが特に強いこと。訪日客の多くは「渋谷パルコに来れば、日本の最先端のブランドが見られる」という風に考えて足を運んでいる。好調な日本ブランドのインバウンド比率は5割もざらで、高いところは7割に達している。ラグジュアリーに関しても「グッチ」が全国の店舗の中でも最も伸び率になるなど、ファッションは全般的にインバウンド比率が高く、好調だ。
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