取材に訪れた松屋銀座の東館(事務棟)で、頭上を飛び交うツバメを見ました。
ビルの庇(ひさし)にツバメが作った天然の巣と、野鳥保護のNPOが取り付けた人工の巣。そこに毎年春になるとツバメがやってきて、卵を産み、ヒナをかえす。親鳥は頻繁に餌である虫を捕まえてきては、大きな口をあけたヒナたちに与える。ヒナたちが飛べるようになり、秋が近づくとツバメたちは去っていきます。
田畑の害虫を食べてくれるツバメは、古くから益鳥として人間に大切にされてきました。彼らは天敵であるカラスや蛇からヒナを守るため、巣を人家の軒先に作ります。ツバメが巣を作る家は縁起が良いとされ、商売繁盛や家内安全が重ねられました。
千客万来の百貨店にとっても縁起の良いお客さんです。巣は事務棟の通用口付近。松屋によると、ここは記録に残るかぎり約40年前から飛来地なのだとか。従業員の皆さんは下を忙しく行き来しながらも、ツバメの家族を温かく見守ります。
日本野鳥の会によると、昔に比べてツバメの生息数は大幅に減少したそうです。餌場である田畑が減っていることに加え、現代的な住宅やビルが巣作りに不向きだからです。まして東京の真ん中の銀座で、ツバメが巣を作ることはとても珍しい。自然が少ない都会で懸命に子育てするツバメが愛おしくなります。
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