ミズノの2024年3月期連結業績は、3期連続で売り上げ、利益、利益率全てで過去最高を更新した。売上高が前期比8.3%増の2297億円、営業利益が同33.5%増の173億円、純利益が同44.4%増の143億円と、増収・大幅増益を達成。粗利率が前年より1.4ポイント改善し、39.6%となったことに加え、販管費率を前年並みに抑えられたことが大幅増益につながった。財務面では在庫が約30億円減少した一方、負債も91億円減り、より健全化が進んだ。
「前期は非常によい1年だった。ただ、粗利率は上昇したものの、同業他社に比べるとまだ低い。在庫水準もまだ高く、改善の余地はたくさんある」と水野明人社長は振り返る。25年3月期は売上高が同8.8%増の2500億円、営業利益が同10.0%増の190億円、純利益は同4.8%増の150億円を目指す。粗利率のさらなる改善とECの強化、廃棄ロスの低減、コスト上昇分の価格転嫁などで、4期連続の過去最高益をめざす。
日本、米州、欧州、アジア・オセアニアの全地域で売り上げが伸びており、日本の売り上げは同7.5%増の1414億円。海外売上比率は前期に比べ0.4ポイント高まり、38.4%となった。日本では、注力しているフットボール(サッカー)カテゴリーが大きく成長したのをはじめ、野球、インドア関連も好調に推移。国内売り上げのプロダクト別では、サプライチェーンの乱れからの回復や、フットボールなど競技向け販売が貢献し、フットウェアが同13.3%増と大きく伸長した。米州では、ゴルフクラブが引き続き増収で売上げが過去最高となった。
カテゴリー別で見ると、欧米でゴルフとランニングの伸び率が鈍化した。「コロナ禍でゴルフ市場はアメリカで爆発的に伸長したが、競争も激化した」のがその要因だ。一方で事業拡大に注力中のフットボールが同44.6%増、インドア関連も同22.5%と大幅に伸びた。
好調なフットボール事業は、商品への評価の高まりとマーケティング戦略が奏功し、5年間で売上げが倍以上に成長したといい、シューズの売上げは121億円に増えた。ボリュームゾーンのフットボールシューズ“モナルシーダ”が飛躍的に伸びている。新成長戦略の1つであるライフスタイルカテゴリーのシューズも成長が加速している。23年11月には、16年から展開するライフスタイルスニーカー“ミズノスポーツスタイル”を主に取り扱う直営店ミズノショップを大阪・心斎橋にオープン。開業から24年3月末までの売上高が当初目標の6500万円を大きく上回り、1億1000万円を超えた。