ワコールホールディングス(HD)の2024年3月期連結業績(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前期比0.7%減の1872億円、営業損益が95億円の赤字(前期は34億円の赤字)、純損益が86億円の赤字(同16億円の赤字)だった。昨年11月に発表した米ワコールのインティメーツ・オンライン(IO社)事業からの撤退・会社清算の減損の計上により、赤字幅が広がった。
国内ワコールの売上収益は同2.6%減の941億円。高価格帯の「ユエ(YUE)」「サルート(SALUTE)」やレースボクサーがヒットしたメンズインナーが好調だった一方で、中価格帯の主力ブランドである「ワコール(WACOAL)」「ウイング(WING)」が引き続き低迷。百貨店や量販店の来店客数が伸び悩みにより販売不振が続いた。フレックス定年制度による人件費削減やテレビCMなどの広告費を抑えたものの、収益改善のための構造改革費用の計上や前期に計上した固定資産売却益の反動もあり、営業損益は41億円の赤字(前期は28億円の黒字)となった。
海外ワコールは、売上収益が同1.5%増の677億円、営業損益は51億円の赤字(前期は73億円の赤字)だった。損失は事業撤退するIO社減損損失が主因。米ワコール、欧ワコール共に実店舗は堅調だったものの低調な推移、中国ワコールも長引く景気低迷により苦戦した。ピーチ・ジョン事業の売上収益は同9.9%減の107億円、営業損益は2億3900万円の赤字(前期は9億2000万円の黒字)だった。タレントを起用した広告活動やコラボレーション企画が振るわず、直営店、EC共に低迷。減収及び、ECシステム更新の経費や中国子会社の清算に伴う損失が影響し、赤字に転落した。
中核会社のワコールは、アフォーダブルな商材の投入をはじめ、「ワコール」と「ウイング」を統合し、24年秋からリブランディング商材を投入する予定だ。川西啓介ワコール社長は、「主軸ブランドの統合により、顧客目線に沿ったわかりやすい商品を提案していく。25年3月期が正念場だ」と話した。