主要ファッション企業の2023年度業績が出そろった。コロナが明けてファッション消費は上向いており、22年度と比べれば売上高、営業利益はおおむねプラスになっている。では、コロナ前の19年度と比較した場合はどうか。パンデミックの危機をバネにして大きく飛躍した企業もあれば、回復道半ばの企業もある。4年間の各社の業績推移を見てみよう。(この記事は「WWDJAPAN」2024年5月20日号からの抜粋です)
グローバル進出、MD改革、
戦略投資で成長を加速する強者
「ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」を運営するファーストリテイリングは、規模も成長率も別格だ。アジアだけでなく、コロナ禍を経て欧州や北米も成長軌道に乗り、加速度的に収益を積み上げている。数字が確定している23年8月期は売上高2兆7665億円で、24年8月期の予想は3兆300億円。柳井正会長は「アパレル世界一」の目標をずっと掲げてきたが、1位で「ザラ(ZARA)」を展開するインディテックスの5兆7360億円(24年1月期)はともかく、2位のH&Mの3兆3446億円(23年11月期)の背中は見えている。4年前と直近の伸び率ではH&Mが1.4%増で足踏みしているのに対し、ファーストリテイリングは20.4%増で勢いがある。
ファーストリテイリングとは対照的に国内市場、しかも郊外や地方の生活圏にほぼ特化するしまむらも成長している。4年前は基幹業態「ファッションセンターしまむら」で「安さ一辺倒」に陥った商品が消費者ニーズとズレてしまい、値引きの増加で粗利益率が低迷していた。コロナ禍での商品改革によって、PB(プライベートブランド)とJB(ジョイントデベロップメントブランド、サプライヤーとの共同開発品)の企画レベルが上がり、消費者の支持を取り戻した。24年2月期まで3期連続で最高業績を更新し、27年2月期には売上高7190億円の目標を掲げる。
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