イギリスのニッチなフレグランスブランド「escentric molecules(エセントリック・モレキュールズ)」が日本に本格上陸。4月12日からリステアで、同ブランドを代表する「モレキュール01」および「エセントリック01」の取り扱いがスタートしている。通常ボトル以外に「スペシャルブラックボトル」(写真上)もあり、こちらは同店のエクスクルーシブ(数量限定)での展開。
「エセントリック・モレキュールズ」が最初に誕生したのは2004年。調香師ゲザ・ショーエンと、イギリスのブランディング会社This Companyのディレクターを務めるジェフによって作られた。以来、"マーケティングをしないマーケティング"のスタイル(広告もプロモーションもサンプリングも一切なし)を貫きながら、ケイト・モスやマリオ・テスティーノ、ナオミ・キャンベルを始めとするスーパーセレブたちの口コミを中心に人気を広げてきた。05年にデビューを飾ったハーヴェイ・ニコルズ本店ではウェイティングリストが800人越えという驚異的な記録を打ち立てるなど、デビュー当初から多くのレジェンドを生み出しているブランドだ。デザインはMe Company(ビョークのジャケットやPV制作で有名)が手掛けており、キャップなしで究極に研ぎ澄まされた、いわば"デザインレスなデザイン"でも注目を集めている。
マーケティングとデザインが"レス"なら、香りも"レス"であるのが特徴で、たとえば代表作の「モレキュール01」は、ひとつの合成香料成分「Iso E Super」のみを100%の高濃度で使用している。通常のフレグランスが50?200種類の香料を調合していることを考えれば、かなり斬新で既成概念をくつがえすアプローチだ。トップノートはほとんど香らず、時間の経過とともにウッディな香りがほのかに際立ってくる程度。ただし、その香り方はつける肌によってさまざまで、まわりにいる他の人には良い香りだと思わせる効果があるのだとか。この「Iso E Super」自体は珍しいものではなく、フレグランスの調香においては、ある特定の香りをブースト(引き立たせる)成分としてよく使われるものだ。それを人の肌に高濃度でつけた場合、その人が本来持つナチュラルな香りが前面に引き出される、という化学反応が本当に起こるのかどうかは定かではないが、海外ではフェロモンのような効果が実感できるとして「ラブ・ポーション」とも呼ばれている。日本ではそもそもライトな香りを好む傾向が強いため、その筋からもブレイクしそうなポテンシャルを秘めていそうだ。
同ブランドのPR監修を務めているのは、「STYLE.COM」のコントリビューティングエディターとして有名なティム・ブランクス。ブランド設立当初からチームメンバーとして携わっており、今回のリステアへの本格上陸に際しても、This Companyのジェフとともに来日を果たしている。「真に洗練された人は、デザイナーにこだわらず、自分のスタイルを持っているからこそカッコいい。このフレグランスは、まさにそのカテゴリーに当てはまるものだろう。ブランドのアイデンティティをまとうのではなく、あくまで"私の香り"として感じられるというのは、とてもロマンティックなアイデアだと思う」とブランクス。
本国では現在、「モレキュール」と「エセントリック」のペアでそれぞれ「01」「02」「03」の計6本が発売されている。うち「01」は日本でも2011年にソフトローンチしており、リステア以外に伊勢丹新宿店でも取り扱い有。