毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年5月20日号からの抜粋です)
横山:円安で街を見ていても明らかに旅行者が増え、百貨店を筆頭にインバウンド消費が盛り上がっていたこともあって、特集が決まりました。その際の、村上編集長からの唯一の注文は「リアルに何を買っているのか取材せよ」。そんなこともあって原宿、表参道、銀座などでの訪日客のハントを軸に特集を作ることになりました。
益成:私は、大阪・心斎橋と福岡で百貨店や訪日客を取材しました。東京はどんな感じでしたか?
横山:2015年にインバウンド特集をやった時は、団体客がバスで乗り付けては、高級品を買いまくっているという感じでしたが、今回はみんな「円安なので、好きなブランドを買いに来ました」という感じ。みんなオシャレで目当てがはっきりしていました。銀座や表参道の「シャネル(CHANEL)」「ディオール(DIOR)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」などのラグジュアリーブランドの大型店舗に行列を作る金持ち然とした人から、「ホカ(HOKA)」のスニーカーを大人買いするフィリピンからの人、キャットストリートの裏通りのマニアックなブランドの店舗前で1時間も待つ韓国人まで、バラエティーに富んでいる訪日客の姿が印象的でした。
心斎橋は“コト消費”がメイン
益成:今はインスタなどのSNSで各自、関心のある情報を得てから、遊びに来るのでしょうね。心斎橋ではショッパーを持っている人は意外と少なくて、食べ歩きなどの“コト消費”がメインのようでした。客層も東南アジアから祖父母を連れて家族で来ている人たちも結構いました。福岡は、空港から10分程度で街に出られ、繁華街の天神と複合施設のキャナルシティ博多、新幹線駅がある博多がコンパクトにまとまっていて、便利。国内旅行の延長という感じで韓国から来ている人がたくさんいました。
横山:僕は新人2人と週末にスナップ取材をやりましたが、特に英語が得意ではない2人が、普通にインバウンド客に突撃取材して、断られてもくじけることなく、ハードな仕事を見事にやり遂げたことに感心しました。
益成:バイアスがなく、物おじせずにフラットに人と接することができる世代で、頼もしいですよね。ところで、このインバウンド景気はいつまで続くと思いますか?
横山:為替次第ですよね。この円安の“買い物天国”がいつまで続くか。こればかりは誰も分からないと思います。