原告2人は、「“バーキン”(注:原告らは“バーキン”と“ケリー”を総称して“バーキン”としている。)はオンラインで購入することはできず、店舗に陳列されることもほとんどない」「『エルメス』の店舗にふらっと立ち寄って“バーキン”を購入することもできない」と主張する。また、「エルメス」の販売員は「靴やスカーフ、ベルト、ジュエリー、ホームグッズといった付属的な商品について十分な購入履歴を確立している個人にのみに“バーキン”を提供するよう指示されている」と主張し、原告ら自身も「“バーキン”のバッグを手に入れるチャンス」を得るためには、そうした商品を購入する必要があると複数回言われたと主張している。上記のことから、「エルメス」が“バーキン”を購入するチャンスを得るためにその他の商品の購入を消費者に強制することは、“抱き合わせ販売”に当たり、違法行為だと主張する。これに対して「エルメス」は5月に提出した書面において、「原告らは根本的に独占禁止法を誤解している」と主張。「『エルメス』は、顧客が“バーキン”や“ケリー”を購入するためにその他のアイテムを購入することを要求していない。仮にしていたとしても、それ自体は独禁法違反には該当しない」と主張した。
原告らは、“バーキン”や“ケリー”だけで単一の市場を構成し、「エルメス」がその市場における支配力を持っており、その市場において“抱き合わせ販売”を促進することが独占禁止法に違反すると主張している。これに対して「エルメス」は、単一ブランドだけで市場を構成できるとする原告らの論理自体に誤りがあると主張。「仮に単一ブランドで市場が構成されることが理論上成り立つとしても、原告らは“バーキン”と“ケリー”だけで単一の市場を構成していることを示すのに十分な証拠を示せていない」などと反論している。