アウトドアブランドが、タウンユースのアパレルラインを続々とスタートしている。矢野経済研究所によると、2014年度のアウトドアアパレルの市場規模予測は前年比104%の783億円。4、5年前まで続いた登山ブームと「山ガール」によるウイメンズの流入が落ち着いたものの、スポーツアパレル市場全体の中では15%程度のシェアを持ち、ここ数年は毎年前年比104~110%で堅調に推移している。その流れを押し上げている一因が、タウンユースのアパレルだ。特に14-15年秋冬からは、街で着用できるようにシフトしたデザインや、黒や白、ネイビーなど都会的なカラーリングが特徴のアウトドアアパレルが増加している。
アウトドア用のテントや調理器具などを販売するスノーピークは、14-15年秋冬からアパレルラインを本格的にスタートした。ダウンジャケット(5万5000円)やシャツ(1万8000円)、パンツ(1万8000円)など全25型をそろえる。元々同社は新潟県三条市に本社を構える。地元の燕三条の金属加工技術を取り入れた高品質なアウトドアアイテムをそろえており、“スノーピ―カー”という熱烈なファンを生んでいる。アパレルもまた、同「スノーピーク」のブランドらしい、ミニマルなデザインと落ち着いた色味で“スノーピ―カー”に支持されている。
スウェーデン発祥で今年100周年を迎えた老舗アウトドアブランド「ホグロフス」も、タウンユースのアパレルライン「19フォーティーン」を14-15年秋冬に立ち上げた。「これからは野外フィールドから街まで、ライフスタイルを『ホグロフス』で統一して提案していく」とは、PRを担当するダヴワークスの上田大輔・代表。「ローンチ記念で発売した世界限定1000個のバッグは早々に完売したほか、まだ直営店のみだがアパレル、バッグともに動いている」と、手応えをつかんでいる。「15年春夏を経て、その次のシーズンにはさらにアイテム数を拡充していく」。
この潮流の先駆けとなった、「ザ・ノース・フェイス」とセレクトショップのナナミカとの協業による「パープル レーベル」も好調だ。同レーベルを数多くそろえ、街中で楽しむユーザーに向けてコーディネートしたショップ「ザ・ノース・フェイス スタンダード」を10年にオープン。ゴールドウインの大江伸治・副社長は「都会的なファッションを好む層にアプローチできている」と自信を見せる。「今年10月にオープンした二子玉川店も高い評価を得ている。多店舗は考えていないが、『ザ・ノース・フェイス』のブランディングのトップに位置付ける店として重要になる」と話す。
近年、街ではオーバースペックでさえある革新的な機能は、新しい素材を追求するファッションデザイナー側から求められ続けている。15年以降、この流れが顕著になれば、ファッションとアウトドアの橋渡し役として、アウトドア発のタウンユース・ファッションがさらに盛り上がるかもしれない。