ヘラルボニーはこのほど、新しい衣服を提案する「ヘラルボニー イサイ(HERALBONY ISAI)」をスタートした。国内外の知的障害がある作家のアートデータを高密度・多色の米沢織で表現したアートピースを額縁にはめて楽しむシャツとバッグ発売する。長袖のシャツは、シーアイランドコットン素材のホワイトと、アルゼンチン産のウールを使ったブラックの2色を用意し、それぞれ11万円で販売する(アートピース1枚付き)。またバッグは、Lサイズのレザーを16万5000円で販売し(同じくアートピース1枚付き)、今後SとMサイズも手がける。
シャツとバッグには、それぞれ4つの額縁を配した。米沢織のアートピースは、各1万6500円で販売。それぞれ限定販売にしたり、発売数を設けたりすることで、それぞれの作品の価値を維持する。
絵画にインスパイアされたり、絵画をファッションアイテムにプリントしたりのアプローチは一般的だが、アートを収めた額縁のある洋服を纏うのは新しい。双子の松田崇弥・文登兄弟は、「僕たちはアートをIP(知的財産)と捉え、洋服だけではなくさまざまなビジネスに用いているが、一方で洋服は”わかりやすい”もの。今後はブルゾンなど、額縁のある洋服のバリエーションを広げると同時に、インテリア商材なども開発して、アートをそのまま楽しんでほしい」と話す。
LVMHの支援プログラムは「スポンジのように吸収したい」
ヘラルボニーは、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)主催の「LVMHイノベーションアワード 2024 (LVMH INNOVATION AWARD 2024)」の「従業員体験とダイバーシティ&インクルージョン(Employee Experience, Diversity & Inclusion)」部門を受賞したばかり。2人は受賞特典として受け取る、LVMHのイノベーション・インキュベーターによる企業支援プログラムへの参加と、同社および傘下にある75メゾンと連携しながら進める個別メンター制度について、「スポンジのようにさまざまを吸収し、取捨選択して、自分たちのビジネスに活かしたい」と話した。
へラルボニーは2018年7月に岩手県でスタート。知的障がいのあるアーティストや福祉施設とのライセンス契約を結び、作品を商品化するブランド事業やライセンス事業を行っている。同社に寄せられるアートは年々数が増えており、現在は専門のアートチームが作品選定を担当。外部のプロを招いた独自のアワードを設立するなどして、透明性の高い作品選びを進めている。