サティス製薬の全国各地の天然素材を活用して化粧品原料を開発する「ふるさと元気プロジェクト(以下、FGP)」が2023年、アイスタイルが主催する「Japan Beauty and Fashion Tech Awards 2023」で大賞を受賞した。同賞は“人を幸せにするイノベーション”としての可能性を持つ商品やサービス、活動などに与えられる。
FGPは2010年に発足。日本全国のさまざまな天然素材をスキンケアの原料として化粧品に配合し、“人の肌を綺麗”にすることと生産地の活性化を同時に目指すプロジェクトだ。審査員からは「OEM企業のR&Dとして日本の希少な農産物のデータベースを持ち、地域・素材・商品企画をつなぐ取り組みは、生産者、消費者、ブランド、そしてサティス製薬自身と“四方良し”の仕組みであり、社会性が高い」と高く評価された。世界中で原料のトレーサビリティーが求められる今、今後FGPのグローバル発信に期待する声も聞かれた。
FGPは山﨑智士代表取締役の「肌悩みを解決するための原料を妥協したくない」という思いをきっかけにスタートした。「FGPの発足前、ある肌悩みと向き合う開発案件があり、最適な原料を探索したものの既存の原料に相当するものがなかった。高性能な製品を作り出す方式は『ハイスペックな原料×処方する技術』であるため、原料を妥協するわけにはいかなかった。そこで、適した原料を自分たちで創り出せないか?と思い立った」(山﨑代表)。
現在に至るまで、開発した原料は100種を超える。生産者のこだわりが詰まった原料を、化粧品を媒体として全国に流通させ、知名度向上と地域振興によって生産者へ価値を還元するFGPは、生産者応援プロジェクトとして日々進化を遂げている。
14年の間に山﨑代表が出会った農家の中には、唯一無二の素晴らしい効能を持つ原料を生産しながらも、後継者がいなく途絶えてしまったところもある。「秀逸な一次産業が、もっと割に合う仕事にアップデートされるべきだ。今後、日本のスキンケアが世界で活躍し、日本の自然と一次産業が創り出す『日本の原料』が世界のトップ水準だと、世界が認める状態をつくり出していきたい」。
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