ファッション

「WWDJAPAN」がファッション&ビューティ業界の基礎研究セミナーを開催

「WWDJAPAN」は、「ファッション&ビューティ業界の基礎研究セミナー」を東京・原宿のウィズ原宿で5月20日に開催した。外資から日本企業まで、ラグジュアリーブランドやアパレルメーカー、SPAまで、ファッション&ビューティ業界のキープレーヤーと潮流を「WWDJAPAN」記者が解説した。

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視聴期限:2025年5月22日(木)23:59 まで
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外資ラグジュアリーは次世代富裕層の獲得に成功

はじめに、外資ラグジュアリーの企業動向を村上要編集長が解説した。LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON、以下LVMH)、ケリング(KERING)、コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)など主要企業の売上規模を図解した勢力図をコロナ前後(2019年と2023年)で比較すると、各企業の売上高は1.7~2倍以上に伸長した。ラグジュアリーブランド全体が好調の理由は「次世代富裕層と若年層の獲得にある」と分析する。次世代富裕層とは、起業家や投資家といった急速に富裕層になった人たちを指す。それまでの富裕層とは異なる消費活動が特徴的で、彼らのニーズを的確にキャッチした点が成功要因だと話す。また、Z世代を中心に広がるリセールバリューを見据えた購買活動と、高価な商品を長く使うサステナ意識もラグジュアリーブランドの好調を後押ししていると続ける。

一強状態が続くLVMHの強みは、扱うカテゴリーが多様な点にある。全体の売上高に占める各部門の割合をバランスよく保つことで、不調なカテゴリーがあった場合も補完し合えているようだ。また、傘下のブランド同士のコラボレーション、成功事例を他ブランドに水平転換するなど、多くのブランドを持つ強みを余すことなく活かしている点も秀逸だという。

消費者の目線とマーケット動向は「ユニクロ」が基準に

続いて、グローバルSPAの最新動向を五十君花実副編集長が説明した。カジュアルSPAチェーンの売上高ランキングは、1位が「ザラ(ZARA)」のインデックス(スペイン)、2位がH&Mへネス・アンド・マウリッツ(スウェーデン)、3位が「ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」のファーストリテイリング(日本)。ファーストリテイリングは2018年に売上高、利益ともに海外事業が国内事業のそれを上回り、名実ともにグローバル企業となった。「ユニクロ」が海外で売れる要因を「日常着を意味する『Life Wear』のコンセプトが支持を得ている。ヒートテックなどの機能性のある商品も他ブランドにないとして評価が高い」と五十君副編集長は分析する。

国内アパレル市場について「ミドル市場が縮小し、アッパー市場とマスボリューム市場が好調というのが全体の傾向。二極化が加速している」と林芳樹記者は総括する。国内アパレルの市場規模は8~9兆円。ファーストリテイリングのユニクロの国内売上高は約8900億円(2023年度)で、市場の約10%を占めているが、「無数のプレイヤーがいる業界としては異例の事態。アパレル業界に対する消費者の目線は『ユニクロ』が基準になっている。そことどう差別化するかが今のマーケット動向に直結している」という。

変化するビューティ業界の最新動向

続いて、村上編集長と牧田英子副編集長が外資ビューティ業界の最新ビジネス事例を紹介した。ファッション業界の総合ラグジュアリーブランドは「原材料高騰によるレザーグッズなどの高価格化。加えてより強い“憧れ”の醸成を目指してビューティ商材をエントリープライスの商品とするのが最近の傾向」という。

長年に及んで、外資ビューティ企業のトップをけん引しているのがロレアルだ。好調要因は積極的なM&A。22年に日本発の「タカミ(TAKAMI)」、23年にはオーストラリア発の「イソップ(AESOP)」を買収している。ブランドはLVMH傘下の「ディオール(DIOR)」の一強状態が続いている。牧田副編集長によると好調要因は「全方位をカバーする圧倒的な商品力」。価格レンジも秀逸で、リッププライマーは4400円台に抑える一方でスキンケアは数万円台に設定している。

年々影響力を増しているのが韓国ビューティと中国ビューティだ。3月14日に東京・表参道で旗艦店をオープンした「タンバリンズ(TAMBURINS)」の成功は「ショールームのような売り場の展開と手に取りやすい価格帯が要因だ」と牧田副編集長は分析する。中国コスメは「フローラシス(FLORASIS)」が代表的で、カラーコスメやデザイン性の高いパッケージを強みとしている。

ビューティ業界の消費者動向は「以前は“これを持っている私おしゃれ”という動機が強かったが、現在は効果や効能を重視した購買に移ってきている」と牧田副編集長は解説する。より実感を求めて美容医療の普及も進んでおり、投資や投機として美容医療を捉える人が増えているという。成分重視の傾向を象徴する存在として代表的なのが、成分をそのまま商品名にしている「オーディナリー(THE ORDINARY)」。そのほか、直近では細胞レベルでパーソナライズされた商品やサービスの開発が進んでおり、今後もこの傾向が進むと牧田副編集長は踏んでいる。

業界を代表するデザイナーたち

大塚千践副編集長は業界を代表するデザイナーを紹介した。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のファレル・ウィリアムス、「ディオール」兼「フェンディ(FENDI)」のキム・ジョーンズ、「グッチ(GUCCI)」のアレッサンドロ・ミケーレ、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のデムナの4人の名を挙げた。コレクションを通して古来のジェンダー観に囚われないスタイルや社会課題への意思を提示するなど、革新的なデザイナーたちの台頭が目立っているという。

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